宇都宮〜桐生〜八高線経由〜川越〜宇都宮 の小旅行2


 27日の続き。桐生10時ころの両毛線で高崎へ。一旦改札から出て、駅前あたりに食堂でもあれば、そこでカツ丼でも食べようかと考えていたが、高崎の駅の周りはすっかりきれいに再開発されたようで、そんな店が見つけられない。豚丼(ではなく別の名前を付けていたがよこに「豚丼のことです」と説明書きがあった)の店があったが、まだ11時ちょっと過ぎで開店していない。しばらく駅の周りを歩いてみるが、11時半開店の店が多いのだろうかやっと見つけた蕎麦屋さんとかもまだ閉まっていた。
 先日、東京都写真美術館で「出発〜六人のアーティストによる旅〜」だったかな、そんな感じのタイトルの展示を見た。尾仲浩二の写真にはまさに桐生の写真もあった。その尾仲浩二の展示室には撮影日記の断片のようなものも掲示してあった。うどんだったか蕎麦だったか、そんなのばかり食べているようなことが書いてあった。ところでこの東京都写真美術館での尾仲浩二の展示では「フランスの犬」シリーズのスライドショーも展示してあり、そのBGMのひょうひょうとした感じと写真と写真のあいまに入る文章の投げやりな感じが、白黒写真とあいまって、やるせないのにウェットではなくドライな不思議な感じを覚えとてもよかったと思う。
 でもって、どんどん八高線高麗川行きの出発時間が迫ってきて、でもまたぞろ吉野家とかマクドナルドで食べてしまうということに抵抗があって、相変わらずうろうろしていたら、立ち食い駅蕎麦の店を見つけた。上毛電鉄のホームに寄りそうような店。それで、尾仲さんの日記なんぞも思い出し、ごぼう天蕎麦を食べたのだが、このごぼう天がごぼうの味がしっかりとしてなかなか美味しかった。

 八高線で南下。暖かい冬の日。車内はもっと暖かく、ダウンジャンパーは勿論、セーターも脱いでしまう。車窓にはずっとのんびりとした風景が続いている。これが雨天や曇天だったりしたら印象も全く違うのだろうな。

 高麗川で乗り換えて川越へ。川越では一度休館になったあとに再スタートしたという川越スカラ座という古い映画館に行き、映画「空気人形」を見る。上の写真(緑のジャンパー)は川越の町で。こういう低い冬の日を正面から受けている街のそこここの輝きが綺麗だと思います。

 映画「空気人形」。「心を持ってしまったラブドールの悲しいお話」と書けばそれだけというかそういうことで間違いないのだが、そして結末もまあそうなるんだよね、という感じ。だけれど、ある場面で短く登場するオダギリジョーと主演の人形であるところのペ・ドゥナのやりとりは、例えば小川洋子の小説を思わせる静謐に満ちたクライマックス(の一つ)だった。しかしラストに繋がる恋人(?)との「事件」はありきたりというか突然物語の持つ独特な印象というか色合いが、現実に引き戻されるようで、興醒めな感じが否めなかった、かな。
> 

写真は八高線の車窓より。