本当に読んだのかな

 なんだかちょっと気持ち悪くも見える、ぬめっとした凹凸のある表面ですが、大磯町(神奈川県の相模湾(太平洋)に面した町)の海で撮りました。海面の凹凸なんて季節に関係なく、同じような風が吹いていれば、同じような波が立ち、同じように写真に写るのだと思いますが、でも「春の海ひねもすのたり」と言うように、なんだか少し海水に粘性があって、それで表面のうねりの変化速度がゆっくりになっているかのように見えました。先日、日曜美術館の再放送で福田平八郎の漣の解説を見ていたので、こんな写真を撮ってみたんだろうと思います。

 昨日は横須賀市文化会館で私も参加している写真同人ニセアカシア発行所の新作写真集ニセアカシア9草迷宮をお披露目し、少部数出版物ですが、多くの方にお買い上げいただき、ありがとうございました。

 今日の日曜日は昼間に隣の市に住む妹と会ってランチを食べながら近況報告をしあい、その後、一人で大磯まで。漁港の駐車場に車を停めてから、上の写真を撮った漁港や海岸をスナップし、たまたま道沿いの掲示板で見つけたガラスの器の展示会に寄ってみたら、そこはこじんまりした新しい白壁のギャラリーで西からの日差しが差し込んでガラスの器の作り出す影が床や壁にゆれていて、海面に次いでまたもゆらゆらとゆれるうつろいを見ることになりました。ギャラリーの入り口あたりで蚊よけに蚊取り線香を焚いている。ギャラリーオーナーの若い女性が、私は蚊取り線香を付けるのが下手で一日に何度も火が途絶えてしまう、とおっしゃっていました。だけど一度火が付いた蚊取り線香がその後、火のつけ方が悪かったことが理由で消えやすくなるはずはないと思いました。ちょっと変な話。

 昨日は、古本も売って良いということだったので、いつかBOOKOFFに売りに行こうと思って車に乗せてあった、紙袋二つ分の主に文庫本、少しの単行本、から何冊かを適当に値段を付けて・・・アマゾン最低価格相当にしておけば送料がかからないからお買い得・・・並べました。するとけっこう売れて、たぶんBOOKOFFに100冊売ってもらえる金額分くらいを、10冊くらいで売り上げました。それはさておき、びっくりしたのは、BOOKOFFに売るつもりの本は、もちろん読み終えた本で、これだけは絶対持っておこうという執着までには至らなかった本ばかりなわけですが、それらの本の多くが、もう中身を忘れている、ひどい場合はその本を本当に読んだだろうか?と疑心暗鬼になる。そして、文庫本のカバーの裏に書かれている解説を読む。そこを読んでも読んだ記憶が蘇らないうえ、そこを読むとやけに面白そうだったりするのです。それで熟れなかった古本のうちの二冊を、ふたたび車に積んでしまうのではなく、部屋に持ち帰ってしまいました。本当に読んだのかな?たとえば中島京子著「ゴースト」と言う本。カバー裏には「風格のある原宿の洋館に出没する少女、激動の20世紀を生き抜いたミシン、すこしぼけた曽祖父が繰り返す「リョウユー」の言葉・・・。多彩な切り口で戦禍の記憶を現代に蘇らせる、ユーモラスで温かくてどこか切ない7つの幽霊連作集。」とあります。面白そうです。そして読んだ記憶がまったく残っていないのでした。どうなの、これ?

 上の写真になる前の元のデータはこんな感じのカラー写真です。

 もう夜になってもずっと窓を開けている。