住宅地の中の空き地の盛り土


 三月四日の日に、東京ドームに行き、ストーンズのコンサートを見て来た。若い人と、そんなに若くはない人と、私のような中年〜老年の人とが入り混じっていて、中年〜老年の人たちのうち、私の左隣の二人組男子は、プロ野球やサッカーのお客さんにもときどきそういう雰囲気の方がいるが、なんというか冷静さを失わずに舞台(試合)の経過や、アーティスト(監督)の選曲(戦術や選手起用)に、評論家風にあれこれと感想を言い合うような感じで、ときどきぐぐぐっとか笑ったり、へぇー!とか言いながら楽しそうに二人でひそひそと話しつつ、最後まで一度も立ち上がらずに観ていた。前のベージュのトレンチコートを着た、頭頂部の毛髪が薄い男性は、きわめて寡黙な感じで、微動はしてただろうけど感じとしては「微動だにしない」風で、感傷的な心持かもしれない感じでじっとステージを見て、一度も立たなかった。私は立ったり座ったりで落ち着きがない。「スタート・ミー・アップ」「ダイスを転がせ」「ブラウン・シュガー」は、前奏が聞こえて、おっ!と思い、自然と立ち上がっていたが、あとは、なんか回りの動きを見ながら躊躇してみたり。なんやかやで、ま、この年齢になってロック・コンサートに行くということも、こういう躊躇とかが発生したりして、若い頃のように心底没入できなかったりするんだな。難しいな。
 帰りは人があまり行かない方に歩いて行ったら春日の駅に着き、地下鉄の階段を降りたら、丸の内線の矢印があるから、これで東京まで行けるな、と矢印に従って歩いていたら、いまドームから地上を歩いてきたのと同じ距離を地下で歩かされて、なんのことはない、ドームすぐ近くの後楽園駅に行かされただけで、そんなんなら最初っから後楽園駅に行った方が良かったわけで、トータルで20分か30分はムダにしてしまったが、こんなのは、ちゃんと調べないでなんとかなるだろうという甘い計画のせいだから、しゃあない、と笑い飛ばせばいいのに、いざムダが生じたあとに後悔したりしてアホだった。
 東京ドームは音が悪いですね、当然だろうけど。
 ミック・ジャガーは70歳とは思えないほど、飛び回り走り回り、むかしと同じ体型だし。これは相当すごいトレーニングの成果なのだろう。
 で、それを見ていて信じられなくて、もしかしてips細胞は実は実用化されていて、ミックの肉体の衰えたところに施されて、彼は不死身なのではないか、とか妄想すらしてしまいました。

 今日、9日の日曜日は、片瀬江ノ島の常立寺へ梅を見物に行き、そのあと、適当に道を選んで歩いているうちに、片瀬山の住宅街に入り込み、尾島肉店という話だけは聞いていた肉屋さんに偶然に着いたのでチャーシューを買った。それからまた坂を上がり、片瀬山北公園というところあたりで、この空地の盛り土の写真を撮った。なんでここが盛られたのかな、とかどうでもいいことの疑問がふっとよぎる。ふっとよぎる疑問は一日に何回くらい発生しては泡のように消えているのだろう?
 北公園で一切れだけチャーシューをつまみ食いしてから新林公園に入る。シジュウカラではないカラ類の、お腹にネクタイ状の黒がない白い身体の、尾が長い鳥がかわいい声でチチチと鳴いているのを見上げたりした。あれはコガラだろうか。

 今日がたしか誕生日だった友人の某さん、おめでとう。