鈴木清写真展 ほか


 竹橋にある東京近代美術館で開催中の鈴木清写真展を見に行く。八冊の写真集を残した(うち七冊は自費出版)写真家。作品は写真集の作られた順番に沿って、それぞれの写真集から選ばれた写真を展示。展示数も多くみごたえあり。三冊目の「天幕の街/MIND GAMES」の写真を見ているうちに、頭の中で、表題のMIND GAMESでなく同じジョン・レノンの曲でのStarting Overのメロディが浮かんでくる。この写真集は四章からなるのだが、そのうち第四章の「路上の愚者・浦崎哲雄への旅」の一連の写真を見ているあいだに、ずっとその曲が浮かんでいる。路上生活者のスナップ。そこに写っているのは、小春日和のように見える。路上生活の苦しさとか貧しさとか悲惨とか、不安とか焦燥とか、そういうことが勿論あるのだろうし、そこを見る鑑賞者もいるだろうけれど、まあいいじゃない今日は晴れていてほら今はこんなに暖かいじゃない、といった「今」だけに寄りそいそれを良しとするような気持ちの良さがある。それで、MIND GAMESのちょっと大上段なメロディよりもポップで楽しい違うメロディが浮かんだのかもしれない。
「修羅の園」の手ぶれした花火の写真には、じっと見て、他の写真を見たあとにまた見て、というように何度も呼び戻された。ぶれた花火の光の描いた(多分)偶然の結果による軌跡が、鳥のよう。夜空を背景にして、自ら輝く白い鳥の群れのようではないか。そう気付いて、さらに美しいと思う。

 近代美術館から神保町まで歩く。スナップして歩く。中古レコード店で、ジャズのLPレコードを漁ってみたり。裏通りのラーメン屋の店内で、コートを着たまま一人ラーメンを啜るおっさんの写真をあせって撮ってみて、結局はぶれていて失敗写真になっただけだったり。

 夜が早く来るけど、まだ過ごし易い気温であるから、だから食欲の秋になるってこともあるのかもしれないね。

 電車に乗っているときとかテレビを見ながらとかに、あーそうだこのことをブログに書こう!と思うことは多々あるのだが、メモを取るわけでもないので、そんなことはすぐに忘れてしまう。だからこうしてブログを書いているときには、思い出せない・・・・
 あっ!一つ思い出した。昨晩、テレビのタモリと可愛いらしい竹内アナウンサーが司会をする歌番組・・・なんだっけ?ミュージックステーションだっけ?を見ていたら、高橋優というシンガーソングライターが歌った。その歌の歌詞は、世の中や街角ですれ違うものに対するいろいろな疑問を並べて、そこだけ聴いているとプロテストソングなのか?と思わせるが、それと正反対のように確固たる気持ちとしての「君が好き」という個人的な確信が歌われるのだが、その視点の大転換って、一人一人みんなそういうことはあるわけで、それなのになかなかそういう転回って歌われていない感じがして面白かった。が、面白かったのはその歌詞だけではなく、歌い方がまとわりつくようで、正しい音程の周りをぶんぶん飛び回っているミツバチみたいで、これもまたとても面白かった。特徴があるのはいいね。時代の特徴はあっても、個の特徴が少ない「適度にお上手」な歌手が多いなかで、面白いと感じました。
 あっ!もう一つ思い出した。今日、東京駅の丸の内北から大手駅まで地上を歩いていて、ガード下に並ぶ食堂街の中からなんとか言う店に入り昼食を食べた。特選海鮮丼1000円と牡蠣フライ定食850円とで迷い、牡蠣フライにしたのだが、最初から最後までそれで正解だったのか?という疑念というか海鮮丼への未練が残るのだった。子供みたいだ。で、その店で流れていたのが、野口五郎、アリス、RCサクセション(僕の好きな先生)、桜田淳子、という流れで懐メロ居酒屋(兼定食屋)なのだった。そして野口五郎の曲の歌詞が・・・あれ?どんな歌詞だったか忘れてしまっているのだけど、昭和歌謡の歌詞ってまあなんというか「詩」であるなあ、と思ったのだった。ので、ちょっと忘れてしまった歌詞を調べようっと。