新しいカメラ


三年間使っていたコンパクトデジタルカメラは、三年前の買ってすぐの頃に北海道へ旅行したとき、胸ポケットからアスファルトの道に落下させてしまい、ずっと「ちゃんと写らない」まま使っていた。カメラの前面が平行に落ちたので角が凹むとか
液晶が割れるとか、そう言う顕著な壊れ方ではなかったのだ。見た目ではレンズ周りのコントロールリングの指のかかりを良くするギザギザの黒塗装がちょこっと剥がれただけだった。だけど、絞り開放のときの解像度が悪くなり、特に画面の左側はそれが目立った。でもまあ細かい画質をすごく気にすることもないし、まぁいいやこのままで、と何も直さずに三年使った。
そして、これといった強い動機があったわけでもないが、まぁぼちぼちって感じで、センサーサイズが1インチのカメラに買い換えた。買い換えた新しいカメラを首からぶら下げて鎌倉へ行ってみた。とは言え紫陽花を見に行く訳でもなし、いつもの通り、まずカフェロンディーノに行って昼時だったからスパゲッテイ(昔なからの喫茶店ナポリタン)を食べ珈琲を一杯、そこから散歩のスタート、まずタラバ書房に寄る。ここまで何も撮らず。地下道で線路をくぐり、やっとカメラを出して首にぶら下げる。小町通から鎌倉八幡宮。戻って鎌倉農協連売所て野菜を眺める。御成商店街に途中から合流し、由比ヶ浜通りの八百屋の店先の梅の実がきれい。古書の公文堂は、最近はいつものおばちゃん(やや老年)ではなく、若いおばちゃん(多分娘さん)が店番をしていることが多いような気がする。さらに由比ヶ浜通りを歩き、途中から由比ヶ浜駅の方に斜め左に路地を入る。江の電に乗って藤沢へ。ビックカメラで新しいカメラの電池を買い(カメラに同梱の一つっきりだと一日の撮影がもたないのだ)、両吊りストラップもかった。さらにシュンク堂書店で軽く読めそうなエンタテイメントノベル文庫を三冊。神戸屋で珈琲を飲んでから帰宅する。
もう夏至は通り過ぎてしまったから、夜が来るのが早くなっているのか?朝が来るのがおそくなっているのか?それはとても悲しいことなのに鈍感で気が付かない。大雑把にいまは昼の長い季節だからと喜んでいるのだ。
夜、スカパーオンデマンドでJリーグベルマーレ対山賀の試合を見る。すごいガチンコの試合。闘志と闘志が身体を動かしぶつかり合う。お互いいなせるような余裕もなく。観ているだけですごく疲れるが、贔屓のチームが勝つとほっとして、疲れも忘れる。
そう言えば江の電の中でOLさんとおぼしき20台の前半か中盤の女性が楽しそうに話しているのがすぐちかくに立ったから全部聞こえてくる。私、好きな人いるんだぁ、でもその人奥さんがいる。子供も。とかなんとか笑いながら。

カメラが新しくなって、高揚した感じで撮りに出ると、気持ちが新鮮なのか自分でもいつもと違うお気に入りになる写真が撮れた感じになれる。と言うのを何回か経験したのだと思うのだが、少なくとも今日のところはそんな感じはなくて、カメラを変えても同じような写真ばかり、ただまた写真データの蓄積が続くのだな。