最後にingが付くマイルスのアルバムが四枚あった。とあるカフェに飾られたLPのジャケットは、そのうちの一枚(だと私が誤解していた)「WALKING」。
1970年代後半、学生時代、下宿の四畳半の部屋で、FM番組「渡辺貞夫マイ・ディア・ライフ」でピアニストの益田幹夫が、たぶん、ソロのエレピで「さらばジャマイカ」を演奏しているのをたまたま聞いて、いいなぁと思い、以降、この番組を毎週のように聞くようになった。来日中のジャズ・ミュージシャンがゲストとしてやって来て、ナベサダと共演した演奏が放送されることが多く、それで、ミュージシャンの名前やスタンダード曲を覚えていった。そのうちスイング・ジャーナル誌を読むようになり、レコードも徐々に増えていく。LPレコードは輸入盤が安かったが、どこでも買えるわけではなかった。学生時代は名古屋市で暮らしたが、夏季休暇やGW休暇、年末年始、に神奈川県の自宅に戻ると、休日の一日をつぶして、一人、もしくは近くに住む友達のK君と二人で、都内まで輸入盤レコードを買いに行った。渋谷にあったCISCOとか青山通りにあったパイドパイパーハウスっていったかな、そんな店に。買っていたのはCISCOってくらいだから西海岸のSSWやロックバンドのLPが多かったが、ジャズのアルバムも随分買った。
名古屋でも下宿のあった星ヶ丘駅近くのレコード屋にも面積は小さかったが輸入盤のコーナーがあって、そこには海賊盤レコードも置かれていて、中にはビートルズの東京ライブのレコードなんかもあった。
輸入盤レコードは、ぜんぶじゃなかったかもしれないが、盤の厚さが厚くて重かった。国内盤が薄い半透明のビニール?シートにレコードを入れたのちに厚紙で出来たジャケットにそれを仕舞うようになっていたのに対して、輸入盤はそんなシートなんかないまま直にジャケットに挟まれていた。それから、なぜかよく藁のようなカスがくっついていた。梱包されて日本に来るまでのあいだにくるまれていた何かのカスだったのか。
そんななかのどの店で買ったのかはもう判らないが、マイルスの最後にingの付くアルバムのうち「relaxin'」を持っていた。「もしも私が鐘ならば/If I Were a Bell」が入っているアルバム。あの曲の冒頭のピアノのフレーズが好きだった。誰のピアノだったのか?レッド・ガーランドかな。
さて、とあるカフェでこのアルバムジャケットを見て、そのときはingが付くのは三部作だったと思って、この写真の「WALKING」に持っていた「relaxin'」にあと一枚は?と一生懸命に思い出していたら、ぽろりと「cookin'」と出てきてほっとした。アハ効果とか言うのだっけ。
ところが、その後になって「workin’」というのもあった気がしてきて、三部だと思っていたから、あれ?四部?と疑問に思った。
それで調べたらマイルスのingの付くアルバムで四部作と括られているのは「relaxin'」「workin'」「cookin'」に「steamin'」となっていて、この写真にある「WALKING」は四部作とは違うんですね。いまになってはっきりしました。四部作はマラソンセッションで同じメンバーで同日?同時期?に録音されたものを言うらしい。この「WALKING」も同じく1950年代後半の録音だけれど、その仲間ではないらしい。
すいません、いい加減な知識で。ここに書いたこともいまちゃちゃっと検索して確認したりしたこと。
コーヒーを飲んでから街を歩けば、風強く、同じ真夏でもちょっとだけ晩夏って感じがする。風のせいだけでなく、五感の全部が言葉では書けない微妙なところで、なにか真夏の疲れ、秋の気配、を感じているのだろう。晩夏は素敵な季節。しかし次の初秋だって素敵だし。どの季節もそれぞれの良さを共有したいものです。