強い南風の日に波を俯瞰したくて


 朝、八時頃に平塚市の田村にあるスタバへ行ってみたら本日最初の客だった。珈琲を飲みながらチキンとアボカドとレタスが挟まったサンドイッチを食べ、上橋菜穂子守り人シリーズの一冊名を読み始める。先日、黒姫童話館で企画展示を観たのでちょっとどんな話か読んでおこうと思ったのです。守り人シリーズは全部で八作あるらしいが、一作一作で完結していると思っていて、とりあえず一冊だけ読んでどんなものかわかればいいや、と思っているが、「いやいやそうじゃなくて八作続きだから、すなわち栞子さんシリーズみたいに、大変だよ」と家族のSに言われる。面白ければ八作とも読むことになっちゃうのか。今のところはそんなつもりはなく、どんなものかの一作だけ、のつもりなのだが。
 南風が強いから、湘南平から相模湾を見渡せば、大きな波が入ってきたり、白い三角波が一面に立っているところが見えるかもしれない、と思って、昼過ぎにまたぞろ自家用車を一人で運転して、APS-Cサイズのセンサーを持つカメラに望遠側300mm、すなわちフルサイズ換算(135フイルムサイズ換算)480mmとなるズームを付けて上ってみた。
 山(丘)の上は吹き上げる風が強烈でまっすぐ立ち続けることが出来ないほど、カメラを構えても揺れる揺れる。その割には思っていたほど沖合から波がずーっと入ってきているわけではない。天気も曇っているから青い海原に白波がキラキラと立っているわけでもない。ま、そういうものです、風景は妄想通りに展開しておらず、それが面白く、妄想よりも劇的ではなくても、自分の見たこの風景が、見たという一点において、一番重要なリアルタイムの記録なのだ。なんてね。この「一点において」って中平卓馬っぽくないですか?
 大波の写真(下の写真)より二宮から小田原、真鶴、の方向を撮った上の写真の、海原の微妙な光のうつろいが美しかった。