坂倉準三展 LIFE なかむら庵


 昨日に引き続き、鎌倉へ。というのも本当は昨日行こうと思っていた神奈川県立美術館鎌倉本館で開催中の坂倉準三展を今日こそは見に行くことにして。快晴。
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2009/sakakura/index.html
 ル・コルビュジエの弟子であった建築家坂倉準三はこの県立美術館鎌倉本館の設計者で、あるいは、数年前に取り壊された渋谷の東急文化会館や、私が小学校五年生の遠足でそこを訪れたときにはまだ出来上がって数年のぴかぴかの新しい建築物だった神奈川県庁新館、あるいはアポロ石油の全国各地の給油所、など多くを残した建築家。東急文化会館が閉館するときに、ちょうど建物の歴史を紹介する展示会が行なわれていて、そのときにその名前を知った。
 建築家の展示会って、絵画や写真の展示会のような作品そのものが即そこにある、というわけには行かないから、図面とか縮尺模型、あるいはビデオ、そしてその建物に関する解説文章が中心となり、よって、絵画や写真がそういう背景を知らずとも作品そのものから何かを感じることを本位とする見方ができるのに対して、そういう背景含んで鑑賞することになるので、どちらかというとドキュメンタリー番組を見るとか歴史書を読むとか、あるいは、ある種の小説を読むとか、そんな感じ。だから所謂美術鑑賞とちょっと違っていて、むしろじっくりと判り易く楽しめる気がする。古い青焼きの図面も、それが額に入って飾られると、なんだかとてもいい。以前、このブログに野村仁展のことを書いたが、なんというか私も理系なので、そういう科学と芸術の緩衝地帯みたいなところに反応するのかもしれない。これも少し前に府中まで見に行ったブラウン社のデザインの展示会を見たときにもこのブログに書いたけれど、1950年代60年代のデザインを「いいなあ」と感じることが多くて、ではもうこれからも新しい製品は、いちいち新しい何かを開拓しなくていいから、みんなそのころのテイストにしてよ、と思ったり。実際はそんなことではないのだろうけれど、アポロ石油給油所の建物の写真を見るとそんなことをまたぞろ思うのだった。

 鎌倉八幡宮の池では蓮の花が咲いている。

 展覧会のあとカフェLIFEに寄ってみる。珈琲一杯。飲みながら、旅行から帰ってもう続きを読まないかもしれないと自分で思っていたのに、まだちゃんと吉田健一著「金沢・酒宴」を読み進む。
http://pub.ne.jp/life4zushi/

 遅い昼食をなかむら庵で食べる。もりそば。蕎麦湯をたっぷりと飲む。

 そのあと駅近くの古書店にふらりと入ったら、新潮新書荷風ル・コルビュジエのパリ」800円。坂倉準三展のあとにコルビュジエの本に出会うのもなにかの縁。

荷風とル・コルビュジエのパリ (新潮選書)

荷風とル・コルビュジエのパリ (新潮選書)