歩く、歩く


 妙心寺の桂春院と大心院で庭園見物。ほとんど他に観光客がいないなか座り込んで長い時間ぼんやりと過ごす。今日は午前は晴れているものの午後からは徐々に天気が崩れるらしい。先週の九州旅行と今回の京都旅行、通算で終日晴れていたのは三日のみ、雨男確定でしょうか。天気が崩れていく予兆なのか風が強くなってきて石庭を眺めているそのときにもあたりの木々のざわめきが聞こえる。気配、それが何に向かった気配なのかもわからないがとにかく気配がするのだった。

 その後、花園駅で亞林さんと合流、一緒に太秦あたりを散策し、「萩」でハンバーガーを食べる。その後、亞林さんは嵐山へ行くとおっしゃるので、どうも嵐山に乗り気のしない私は彼とは別行動とさせてもらう。若いころは京都と言えばまず嵐山みたいに、嵐山散策に行ったものだったが、いつを最後にして行かなくなったものか。今では、東京ディズニーランドには意地でも行かないぞ(現にいまだかつて行ったことがない)的に拒否したい気分なのです。ちょっとオオゲサでしたな、そこまでじゃないですが・・・

 嵐電と地下鉄を乗り継いで西から東へ移動。金地院の庭園を見物し、哲学の道と平行に一本西のバス通りを北上し、途中から左折して吉田山に登り、吉田山頂上のカフェ茂庵で珈琲フロートなどを飲んだ。吉田神社では映画「鴨川ホルモー」のロケ場所を確認したり、あれは(裸踊りは)ここか?どかだ?などときょろきょろしたりもした。

 金地院の小堀遠州の庭園。最後にここに来てからいつのまにやらもう20年以上経っている気がする。記憶にあるのはぼんやりとくぐもった天気の真夏の夕方で、庭園の手前の白砂による海がグレーにただ広がっていて、一体この庭の何が面白いのか?全く感応しない自分の気持ちなのだ。誰かが一緒にいたようにも思うのだが、それが誰かも忘れてしまった。
 しかし今日、この庭に来たときにはまだ快晴で、新緑の木々はきらきらと輝き、白砂も光っていて、華やかで雄大で、大きくて夢のある、なんというか展望が開けた心持のような庭に見えてすっかり魅せられてしまった。良かったです。

 18時過ぎ、Tと二人で夷川通りのタイカフェカティで夕食をとり、新幹線の時間まで小一時間の余裕があったのでビブリオティック・ハローで珈琲を飲んでから、夜遅い新幹線で茅ヶ崎に帰る。
 京都では最後、ハローを出ると雨が降り始めていて、持っていた折り畳みの傘を傘がないTに渡してから、地下鉄の階段を降りて地下鉄で京都駅に行った。
 それにしても今日もそうだったが毎日毎日たくさん歩いた京都だった。相変わらず本屋とカフェと庭園にばかり行きました。

 写真は、最初この小学生が画面の真ん中に来たらシャッターを押そうと思っていたら車が通って、車がいなくなったら小学生はここまで画面の端に来ていたというものなのだが、真ん中にいるよりいいかもしれないですね。どうでしょう?