試行


 今年は8月に大阪で写真展をやる予定でいますので、どんなのを展示しようかな。いろいろ試行錯誤をして、眺めたりし始めました。どうでしょうか、たとえばこんな写真は。

 昨日、実家に顔を出して、午後2時少し前に実家の近くのバス停留所から平塚駅までバスに乗った。そのあと都内に行き、ニセアカシアメンバーと新年はじめて顔を合わせ、とんぼ返りで大磯に左義長を撮りに行ったのだった。
 実家を出るとき、老母は眠っていたようだったので、妹に帰ることを告げて家を出たのだが、バス停留所であと数分で来るバスを待っていたら、実家の路地からバス通りに出てくる信号のところに茶色っぽいコートを着た母が見えて驚いた。信号が青になり、母は道を渡り、バス停留所の方に歩道を歩いてくるから、私もバス停留所を離れて母の方に歩いた。なにごとかと驚いたが、ただ、もう帰ったというから送りに来たのだ、とだけ言った。母は、最近あまり出歩いていないから、ここまでのほんの数十メートルでも疲れちゃうわね、とつぶやいた。そのとき、ずーっと向こうまで見通せるバス通りにバスが見えたから、もうバスが来るよ、と言うと、母は、じゃあね気を付けて、と言い、もう私に背を向けて、今わたってきた信号のある横断歩道へと戻って行った。見ていると、バスがその信号で赤で停められ、母はちょこちょこと小さな歩幅で横断歩道を渡り戻って行った。横断歩道の途中と、渡り終えたところと、二回、私に向かって手を振ったから、私も大きく手を振りかえした。なんかそのときの逆光の場面は、もしかしたらずっと覚えていることが出来るのかもしれない、とそのあとバスに揺られながら思ったのだった。