辛い麻婆豆腐の翌朝


 金曜日、会社関連のとある飲み会が都内の中華料理店で行われて参加する。その店の名物は「辛い麻婆豆腐」でコースの後半に必ず登場する。あまりに辛いから調理の前に「辛いのがいいか?そうしない方がいいか?」と聞かれる。今日も同じ円卓にいた誰かが聞かれたのだろうか、そこは知らないが、登場したのは辛いやつだった。これが赤唐辛子だけでなく山椒も効いている。山椒は舌がしびれてくるから、だんだん舌の感覚が麻痺してくる感じ。それで最初はとても食べられないと思ったものを汗びっしょりになりながら取り分けた一皿を食べ終えると、残った大皿からおかわりをしてしまうのだった。 
 そんな風にいい気になってがつがつとたくさん食べながら、もう話題のひとつたりとも思い出せないけどなんやかや思い出せなくてもなんの支障もないどうでもいいことを話して、げらげらと笑って、二時間強を過ごした。
 帰宅して、眠気に襲われて、シャワーも浴びずに寝てしまったが、真夜中にちょっと腹痛がして目が覚める。麻婆豆腐の食べ過ぎ?かといって激しい症状にはならずなんとなくまた眠りに落ちた。