夕方の海岸散歩


 茅ヶ崎漁港の水揚げ場の屋根の裏から燕が数羽飛び出して来ては船溜りの海の上を鳴きながら勝手気ままに飛んでいる。勝手気ままというのは人間の感想で早くもそこに餌となる虫が飛んでいるのだろうか。たしかにここ数日の寒さと比べると少し暖かい日だった土曜日、2月3日。
 それにしてもこんなに早い季節に燕は渡ってくるものだろうか?と思って、帰宅してからネットで検索してみたが、やはり渡ってくるのは三月〜四月とあって、こんなに早く日本に到着する燕はいないはずだ。と言うことは、おなじく燕で検索して出てきた記事にもさかんに書いてあった、日本で越冬する越冬燕ということに違いない。(水揚げ場の屋根の裏には例の泥を固めてできた巣があって、そこを接写したのを拡大してみたらやっぱり燕だったから、鳥の種類の見間違いではなかった)
 越冬燕で検索すると、演歌の曲のことばかりが出てくるが、四国や九州など比較的暖かい地方で見られるらしい。茅ヶ崎で越冬燕と言うのは珍しいのかしら?

 港まで歩いていくあいだの車がぎりぎり行き交えることが出来るくらいの道幅の道路で、私が進む右側の工事現場(以前は駐車場だったがマンションでも建ちそうだ)に初老の小柄だががっしりした体形の、当然頭はスポーツ刈りというか三分刈りの作業靴姿の大工さんがいて、道の左側に停まった同業者だろうか軽トラの運転席の男と話している。二人が楽し気に話している会話が聞こえてくる。
 右の男が、この工事現場から自宅への帰り道に「とり介」があるから必ず引っかかってしまう。と、笑いながら言っている。
すると左の男が、いいじゃねえか新鮮な魚が食えるんだから、山じゃあ食べられないよ。と、答えている。
それから二人はひとしきり笑いあって、じゃあな、と左の男が言ってから軽トラが動き出した。
 とり介っていう店は、焼き鳥屋なのか?でも新鮮な魚も出る居酒屋なんだな。私はそう推理(ってほどでもないか)する。

 しかし、帰宅してから、とり介・茅ヶ崎駅北口店、もしくは南口店を「ぐるなび」で調べると、海鮮系の料理があるようには思えないな。左の男の思い込みだったのか?

 もう日が落ちたころだが、砕ける波のあたりの青が美しい。当然だけれど冬至のころより暗くなるのが遅くなっている。燕を見たせいもあり、あるいは男たちのは会話がのんびりしていることもあるのか、少し春を感じた気になる。珍しくコンデジ焦点距離を目いっぱいテレに引っ張って、この写真を撮りました。