夜空


 ずっと曇り。肌寒い。夜7時になって初めて外に出る。家族と車で湘南平(小高い山の頂上にある公園)の夜桜見物に出かける。途中、ケンタッキー・フライド・チキンのドライブ・スルーで、いろいろと買い込む。湘南平では上の駐車場に運よく停めることが出来た。外は寒いので、車中で買ってきたチキンを食べる。それから外に出る。湘南平の東の端にはテレビ塔が設置されている。そこからは相模湾が見渡せるし、平塚市の夜景がきれいだ。しかし風が吹き付けてきて寒い。ほとんどがカップル、ときどき子供をつれた家族、が上ってきて、夜景を眺めてから、早々に背中を丸めて戻っていくのだった。
 雨は、ちょうど帰るときに降り始める。目ではよく判らなかったが、ISO2500にして、手すりに置いて撮った空の写真では、空は乳白色でどんよりとそこにあるのだった。

 東京駅のエキナカ、サウス・コートの丸の内側に出来たHINT INDEX BOOKでは、様々な分野の著名な何名かの方が所定の広さの本棚を使って、セレクトした本を並べている。今だけのイベントなのか、ずっとメンバーが変わっても続くのかは知らない。人によっては自著ばかりを並べている。そんな中でいしいしんじは自著よりも他の作者の著作ばかりを並べている。自分の気に入ったセレクトをしていると思われる。好感が持てる。いしいしんじ氏は何かの雑誌の旅に持って行く本だかの特集だっただろうか、そこで、西脇順三郎の詩集「旅人かへらず」を取り上げていて、初版本のレイアウトや大きさで読まなければこの詩集の本当の魅力はわからない、というようなことを書いていた。それで私は、その記事にしたがってネットで日本中の古書店を当ったことがあった。北海道の古書店からその本を買った。市場平均価格よりは随分と安いものだったが、それでも一万円は越えていた。
 HINT INDEX BOOKのいしいしんじ氏の書棚には、吉田健一とか小島信夫なんかも並んでいた。読んだことがない本、作家のことを全く知らない本も沢山並んでいた。たぶんそういう本が書店の、それぞれの分類の書棚にあっても手に取らないものがほとんどだろうな。でもこうしていしい氏のセレクトだということで並べられると、結構な興味が沸いて、それで手に取ってみると、確かにどれも読んでみたくなっている。あるいはそういう気にさせられる企画である。
 鷲田清一著「京都の平熱」をその中から買った。今朝、それを読んでいたら、京都のラーメン事情の歴史のことが書いてあった。それで、無性にカップヌードルを食べたくなって、ほとんど食べないそれを今日は久々に食べたのでした。朝がカップヌードルで夜がケンタッキーだから、なんちゅうか、そういう食生活の今日でした。

京都の平熱  哲学者の都市案内

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