古い写真から


 須田先生のほか、多くの友人・知人から展覧会の案内が届く。ここに案内を載せておきます。

須田一政写真展「TOKYO B-Side,around 1980」
場所:ギャラリー冬青(中野)
期間:2/1-26(日、月、祝、休)

・平田麻衣子写真展「息をすること」
場所:PlaceM(ミニギャラリー)(新宿御苑前
期間:2/7-13

・塩崎尚央写真展「目刺し」
場所:マキイマサルファインアーツ2F(浅草橋)
期間:2/18-3/1
(この期間、同所の1Fでは須田塾大阪の大西さんの個展だったかな・・・)

・うえのやまひろこ写真展「ざわめきのささやき」
場所:cafe & galerie NAJA(千葉県土気)
期間:2/6-12
(引き続き河野麻美さんの写真展が同所で2/13-23)

・三木コヲジ個展「紙と旅と時間と」
場所:ブックギャラリーポポタム(目白)
期間:2/8-19(日、祝、休)

・藤谷美貴雄写真展「ミキフィッシュちゃん半魚人ベイビー2011」
場所:スペースQ(銀座)
期間:2/21-26

・丸山昌子ほか「梅展vol.3」
場所:梅庵(本鵠沼
期間:2/11-15


三木さんは今回、写真ではなく絵の個展だそうです。

 2/5のこと。
 私の4月の個展でA2サイズに伸ばす写真のデータを作る作業をする。その写真の中に、私の父が、たぶん1960年代中ごろに社員旅行で行った鳥取砂丘で撮影した写真をベースとしているものがある(ファウンドフォト+再加工行為ですね)。鳥取砂丘を背景にして父が画面の中央からやや左の位置に立っていて、コートが風になびいていて、父はなんだか指揮者のように両手を中途半端な高さまで挙げて笑っている。
 いままでこの写真は、父と一緒にいた友人か仕事の仲間の方とのあいだで、
父「おい、A君、ちょっと僕を撮ってよ」
A君「はい、いいですよ」
父「ここがシャッターだから」
みたいな会話があって、それから撮られたものだと思っていた。
 ところが、あらためて写真をよく見ると、カメラの位置が随分と低いことに気がついた。画面の下の方に写っている「前ぼけ」している砂の部分は、すぐ目の前の、カメラから数十センチの距離から始まっているように思える。
 ということは父は例えば自分の持っていた旅行鞄を砂丘に置いて、その上にカメラ、多分当時使っていたと思われるのはオリンパス35Sというカメラなのだが、それを置いて、セルフタイマーで自分を撮ったのではなかろうか?という推定がにわかに浮上した。そうなると、父は、なんで手を中途半場に持ち上げて、しかも笑っているのか?これはもしかしたらカメラ側に何かの「異変」が発生していて、
「あ!やば・・・」
と驚いた瞬間なのかもしれない。父の顔は笑っているように見えるが、ぼけた古い写真なので、もしかしたら驚いた顔なのかもしれない。驚いて思わず両手を挙げてしまった瞬間。
 それからさらに写真の隅々を見ていると、どうやらこの日の鳥取砂丘は画面の右から(北東?)強い風が吹いている。父のコートがふくらんだり、あるいは体に張り付いたりしている、その様子から風の方向がわかる。
 立った父の更に左側には遠方を歩いている数人の人がシルエットになって写っている。一番右の人は風上方向に背中を丸めて歩いているようだ。
 そこらあたりを接写してみたのが上の写真です。
 それで、例えば、セルフタイマーで自分を撮るためにカメラをセットして、カメラから遠方へ走って、振り向いて立った父が、カメラがバッグの上で風を受けて倒れようとしている、とか、徐々に傾いていく、とか、そういうことが起きているのをみて驚いたのかもしれないな、なんて推理してみた。
 それともゴミかなにかが風に飛ばされてカメラの前を横切ろうとしたなんて可能性もある。
 という風に、一枚の写真からいろんな推理をしてしまった。この旅行のときに父は早朝早くだったか深夜だったかに帰宅した。そのことを覚えている。母と私は、いつもは寝ている時間に社宅で父を待っていて、やっと父が帰ってきて、鞄の中から土産を出してくれる。記憶が確かなら、大きな二十世紀梨があったように思うし、玉造温泉だったかで買ったとかいう「くずめのう」もあった。宝石の瑪瑙の原石の屑みたいなものだったと思う。

 5日の昼は家族の某と藤沢のシクロで遅めの昼食。その後、ビックカメラのパソコン売り場やら小田急百貨店の靴売り場やらをぶらつく。茅ヶ崎に戻り、ビーンズ香房でコーヒー豆を焙煎してもらう(この店は注文してから焙煎する)。タンザニアの豆を買いました。
 焙煎を待っているあいだに、店にあったDMを見ていたら、近くのKalokalohouseというギャラリーで「切符展覧会/作家達それぞれの切符への思いが集います」という展覧会をやっていることを知り、立ち寄ってみる。20名くらいのいろんな作家(石に絵を描く人や蝋石みたいなのを使う人や、金属アクセサリーや木工もあったかな、ほかにも版画や絵やコラージュや布細工や・・・ってホントにそんなのあったかな?とにかくいろんな表現手段の方が集まってました)の方が出展していた。吉田篤弘の短編集を読んでいるような気分になった。