横浜大桟橋


 亡義父の墓参。ちょうど正午のころで猛暑。そのあと、家族と別行動。弘明寺商店街を歩き、地下鉄弘明寺駅から関内へ。近くのチェーン居酒屋のランチ、海鮮丼900円。ぱっとしない。海の方へ歩いていくとディスクユニオンを見つける。ビルの二階。大きな店舗で大勢のお客さん(ほとんどが年配の男性)で混んでいる。ジャズのCD棚をうろうろするが、何か探してみたいものがすぐには浮かばず、ふと目についたミュージシャンのコーナーをちょっとだけ当たってみたり。具体的にはレッド・ガーランドだったり。知らないCDもたくさんあったが買おうという気持ちに至れない。心のどこかに何かのわだかまりが残っている感じなのか、なんとなくしゃきっとしない。海鮮丼がぱっとしなかったのもそういう一貫なのかも。そういえば今月はほとんど本を読み終わっていない。京都大阪旅行に持って行ったヘミングウェイの厚い短編集は半分まで読んで、帰宅したら読み進んでいない。昨日電車内で読んでいた出久根達郎のエッセイ+短編集も、三分の二まで進んだが、読み進もうとあまり思わない。

 今日出がけに、本当にもう家族が玄関で靴を履いていて、私もバッグを持って同じく玄関に行きかけたときに、ふと思いつき、ひと月かふた月ほど前まで夢中になっていた昼間のスローシャッター写真を撮るかもしれないと思う。そこで「先に車に行ってて!」と言ってから、あわててNDフィルターと三脚をバッグの荷物に追加した。(車で墓参へ、そこまで私が運転して、あとは車は妻に託し、私は地下鉄で関内へ、というわけです)

 いったいこの猛暑の中、日蔭のまったくない大桟橋にやってくる人たちがいるのだろうか?と思いながらも、昼間のスローシャッター写真で大桟橋の観光客を撮ってみたいなと思いつく。それで、時間にするとたしか14時半ころに大桟橋に着いた。すると桟橋には大きな大きな豪華客船飛鳥2号が停泊中で、ときどき豪華客船を見ると、その大きさに圧倒される。浮かび進む街区って感じですね。
 飛鳥2を見に来る人もいるからなのか、あるいは、14時半になると風も気持ちよく、晴れているとはいえ快晴ではなくてうっすら雲もあり、正午のころとは違って意外なまでに心地よいからなのか、三々五々って感じで観光客がやってくる。人の密度も気持ち良い。それでなんだかわからないわだかまりが溶けていき、少し写真を撮るのに熱中する。

 もうひと月かそれ以上前の27時間テレビかなにかでそのテーマ曲に「涙をこえて」が使われていたと思うのだが、これなんか、その曲をこうして再び耳にする機会にめぐまれなかったら、たぶん独力では絶対に思い出さなかった曲だろう。ところが、それ以来、しょっちゅう頭の中でこの曲のメロディーが流れている(鼻歌の前段階で決して口ずさまないが、頭で流れる曲をなんと称するのか?脳内曲?まさかね)。
 コード進行なのか編曲なのか理由はわからないが、さびに入っていくところの「感じ」なんか、あーこういう「感じ」の曲あったよねえ、あのころには!と思わせる。それでそれがけっこうかっこよかったりする。
 いや「涙をこえて」と大桟橋には何の関連もないのですが。。。