鎌倉、秋の土曜


 金曜午後に半休を取って病院へ行き、抗生物質その他の薬を出してもらった。新しい抗生物質マイコプラズマにも効くというもので、夕食後二錠を飲む。朝食や昼食のときには飲まないで、夕食後だけに飲むというもの。土曜の夜に指示通りに二錠を飲んだ。そして土曜日の朝、これは効いた、という実感があった。胸のひゅうひゅういう感じも、咳も、鼻水も、完治までには至らずとも、ほとんど治っている感覚。とすると、この二週間以上苦しんでいたのは、可能性としてはマイコプラズマだったのかもしれない。

 トートバックに、小型三脚とDSLR、NDフィルター、読み出したばかりの多和田葉子著「ゴットハルト鉄道」の文庫本、財布やら携帯電話やら家の鍵やら、そういうのを放り込んで、久々に散歩に出かける。寒いといけないので、ネルシャツの上にもう十年くらいまえに買ったユニクロの緑のセーターを着て、さらに今春七割引きになっているところを購入したGAPの薄手のベージュ色コートを羽織る。靴はクラークスの黒い靴で、これは一年くらい前に横浜の靴屋で、その冬限定商品の現品限り最後の一個のをセールで買ったのだった。
 今日の主目的は神奈川県立近代美術館鎌倉館に「シャルロット・ペリアンと日本」展。先日の日曜美術館のアートシーンで紹介されていてちょっと興味を覚えた。フライヤーの解説を引用すると『20世紀の建築とデザインに画期的な刺激をもたらしたシャルロット・ペリアン(1903-1999)は、巨匠ル・コルビジュエとその従兄ピエール・ジャンヌレとの共同作業を経て、建築とインテリアに数々の優れた作品を残したフランスの女性デザイナーです。1940年の初来日以降、たびたび日本を訪れたペリアンは、日本を愛し、また多くの日本人に愛されてきました。今回の展覧会では、戦前戦後を通じて日本のデザイン界に多大な影響を与えたシャルロット・ペリアンと日本の関係に注目しながら、彼女の仕事の今日的意義をさぐります。』とある。
 多くの白黒写真の展示と解説を読んでいくと、これは作品展というより、ペリアンという一個人を、時代背景も含めてたどっていく展示で、その「物語」が波乱万丈であればあるほどエンタテイメントとなり、引き込まれるのだろう。伝記小説のように。

 八幡宮の参道で、例によってNDフィルターを付けた昼間のスローシャッター写真をたくさん撮る。しかしこの手法は、人が絶えず歩いて行く参道のようなところでは、あまり面白い写真にならないのかもしれない。止まっている人と動いている人が適度に混じっているときに、ときどき、何かしら面白いと思える写真が写っているのだが、今日はなかなか面白い写真が撮れない。それで海辺や公園でこの手法で撮るときに比べてシャッター速度を早く、1/2秒〜1/4秒くらいにしてみる(この手法を最初にためしたときには3秒〜5秒を使っていて、海の波が真白い綿菓子のような塊になるようにしていたのだったが、それでも海に向かって、海を眺めて静止している人も結構多くて、面白い写真になったのだ)。しかし上の写真のように1/4秒くらいにすると、当然だが動いている人のブレ量は減ってしまって、普通の写真に近づいてしまい、これはこれでまたあまり面白くない。



 美術館を出ると曇っていた。鎌倉駅の方へ歩いて行くと、雑誌やテレビで取り上げられた店や、生シラス丼をメニューに出しているような店は、みんな列ができている。そんな中に、誰も並んでないタイ料理の看板を見つけたので古いビルの二階にあるその店に入ったら、夜はカラオケスナックになるような店でふかふかのソファーに低めのテーブル。そこで、ひき肉と野菜の辛い炒めとごはんと目玉焼きの、なんとか・・・カとかパオとか?を食べる。隣に三人組の男子大学生が座っていて、グリーンカレーを辛い辛い!と汗びっしょりになって食べている。なかなかおいしかった。
 調べたらタイ料理Q(http://thairyouriq.web.fc2.com/)という店で食べたのはカッ・パカオでした。

 電車に乗って、藤沢へ。鵠沼の梅庵に、丸山晶子×伊藤奈津子展。来春、梅庵でニセアカシア写真展+余白や出張カフェを開催する方向で、話を進める。http://ume-an.com/access.html

 夜、妻と二人で茅ヶ崎のイタリア食堂ニャムニャム(http://gnamgnam.web.fc2.com/)で夕食を食べる。生牡蠣を今年初めて食べる。ほかに牡蠣とやまといもと烏賊と野菜のフリッター、はまぐりのパスタペペロンチーノ、など。大変おいしい。