雪が積もった京都


 photo&cafeのイベントに参加して、京都中京区の御所南のmocomococafeにて写真を飾らせていただいている。搬入だった2月上旬だけでなく、期間中にもう一度京都に行こうと思っていたので、17日の夜に会社が終わってからのぞみで京都へ。一足先に京都に行っている春休み中の家族のSとハンバーグ一乗寺で夕食を食べる。そのあと恵文社一乗寺店に寄って、文庫になった長嶋有著「ねたあとに」を買う。そのころには雪はまだ降っていなかったから、翌18日土曜日の朝に、すでに始発の電車でどこやらに行ってしまったSのいない部屋で目が覚めて、しばらくテレビを見たりしていて、8時半過ぎになってカメラを持って外に出たら、げっ!雪積もっている。高野あたりでタクシーを拾い、大徳寺龍源院に行ってみる。タクシーの運転手さんの情報によると、金閣寺にはオープン前からカメラマンが列をなしているとか。大徳寺龍源院は、私はその日二番目の入場だったか、先客はご近所に住むという大学生くん。雪が積もっても、石庭に描かれた模様に沿った凸凹がちゃんと浮き出ている。ちょうどその程度の積雪量ということだろう。ときに日がさし、ときにまた吹雪く。
 ガイド本に載っていた錦×富小路くだるの蕎麦屋で朝蕎麦を食べてみたい。そこでバス停大徳寺前に行ったら、すぐに四条河原町行のバスが来たから乗り込む。ところがほんのいくつかバス停を過ぎたところで、鴨川を渡ったら、その河川敷の一面の雪景色が美しくて、写真を撮りたくなり急きょ、バスを降りてしまう。履いていた靴はメリルのカモノハシのくちばしみたいなやつだったので、雪の中をさくさくと歩き続けると、たぶんすぐに雪が浸みてしまうだろう。でもいいや、こんな雪景色の京都に出会うことなんかめったにないのだろうし。
 運よくなのか、意外にも雪は浸みないまま、なんとか鴨川デルタあたりまでたどり着いた。カメラには24mmの単レンズを付けていただけなので、対岸で遊ぶひとたちを撮るとこんな風にひとたちが小さすぎる、とそのときは思ったが、写真にはこれしか残っていないわけで、そうなるとこれはこれでこの日のこのときの私の写真であるのだった。
 出町の商店街でまたタクシーを拾い(この日は贅沢なタクシーふんだん使用だ!)希望の尾張屋の朝蕎麦に駆けつける。四条まで行くと、雪の量がぐっと少なくて驚いた。朝蕎麦はかやくごはんとセットになっていて500円。身体があたたまる。
 蕎麦を食べてから、写真展会場のmocomococafeまで写真を撮りながら歩く。mocomocoで須田塾仲間件ニセアカシア仲間のTイトウさんと合流。北陸撮影行から回って来てくださる。北陸は京都よりもっと寒かったそう。
 Tイトウさんと丸太町から一駅だけ今出川まで地下鉄に乗り、そこからトリペルという店で開催中の古本市まで歩く。室町小学校の横を通り、雪だるまの横を通り、雪が積もって土の上が白くなった小さな赤い花を咲かせたプランターの横を通り。昭和30年発行の田中冬二著高原と峠をゆく、という新書サイズの古書を買う。山や峠に関するエッセイ集のようだ。そこからさらに歩いてカフェ桃源郷。photo&cafeの展示も行われている。猫二匹、店内を自由に歩き回る。サイホンで入れたコーヒー。なぜか厨房の柱に小さな藤田嗣治の写真が張り付けてある。
さらにTイトウさんとずっと南下して歩いて行く。途中二条城あたりではふたたびの吹雪。さらにphoto&cafeの会場を二つはしごした。