ニコラ・ブーヴィエ展


 4/13-5/06期間で開催中の京都グラフィー国際写真フェスティバルの12会場のうち、とらやギャラリーでクリスチャン・ポラックコレクション展、ついで、有斐斎弘道館でニコラ・ブーヴィエ展を見る。
 ブーヴィエ展が開催された弘道館という建物にはこういう内容の解説が書いてあった。
「歴史上の弘道館は1806年皆川淇園が自宅の隣に創設した学問所。現在の弘道館は近くにあった京屋敷がマンション建設で取り壊されそうになったものを、当地に移築した」
 いまの弘道館のある場所がまさに皆川淇園弘道館のあった場所と一致するのか?移築した建物というのはいつごろのものでどういう歴史があるのか?とかはちょっと調べただけではよく判らないが、石畳の小道に誘われるように入っていくと真っ赤なのれんに迎えられ、苔の美しい前庭から玄関を入ると古く薄暗い数寄屋造りの平屋の日本家屋で、そのなかにニコラ・ブーヴィエの写真が木枠の箱のような額の中に、竹を使って写真を抑える展示方法で並べてある。その写真とともにニコラ・ブーヴィエが紀行文に残した文章が抜粋してある。写真を見るのにテキストは不要なのではないか?テキストに説明アシストを仰ぐような写真は本当の写真ではないのではないか?みたいなしかつめらしい論争なんかさておき、旅行家+思索家+エッセイストのニコラの生き方の一片に接するということであれば、テキストと写真と、ノートの切れ端とモノクロの動画、その動画はサウンド映画でブーヴィエの話す(私にはもちろん意味が一つも判らない)フランス語の聴覚に届く心地よさ、日本家屋の室内の暗さ、庭に咲く大きな数多い満開の躑躅の花。そういう会場の全部のもたらすものにすっかり魅せられてしまった。

 数年前の雑誌「コヨーテ」でブーヴィエが特集されたときにはじめてブーヴィエのことを知り、著書を読んでみたくなり、「世界の使い方」を含むブーヴィエの本を買って、実は全部は読んでないのだが、途中までだけでも若い旅人の、旅に駆られる気持ちがひしひしと伝わってくる、ピュアな視線が面白かったことを思い出した。ちゃんと読み直そう。

(備忘・行動メモ) 小田原9時過ぎのひかり号でMと京都へ。奈良線東福寺、京阪で出町柳叡電一乗寺。T宅へ荷物を置いてからふたたび出町柳へ。鴨川を渡り出町柳商店街近く、予約しておいた葵匠で昼食。漬物寿司など。途中新しくできたパン屋であんぱんを買ったりしながら同志社大学に面した今出川通りを西へ。4/13-5/06期間で開催中の京都グラフィー国際写真フェスティバルの12会場のうち、とらやギャラリーでクリスチャン・ポラックコレクション展、ついで、有斐斎弘道館でニコラ・ブーヴィエ展。烏丸御池へ移動。新風館で同フェス連動企画ヴァンサン・フルニエ展。カフェコチまで歩いて行くが、満席で断られる。一乗寺に戻り、夕食は洋食はっとりあん恵文社一乗寺店に寄り、本を見ていたら店の前の通りを祭りの神輿が練り歩いて行く。書店から飛び出て写真を撮った。

ブーヴィエの世界

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