片づけ


 終日、雨が降る。4月のニセアカシア写真展に展示した作品の入った段ボール箱や、買ったのに読んでいない本の塔や、いろんなところでもらってきたチラシやDMが、部屋中にいっぱいになり足の踏み場もない。そこで朝から整理と掃除に取り掛かる。時間制限があるわけでなし、未読のレベッカ・ブラウンの本をめくって短編の最初の一編を読んだり、山口薫の十年くらいまえに東京駅のギャラリーで開催した展覧会の図録をめくったり、そんなふうに取り囲まれたあれやこれやを迷路の露店路地であちこちに立ち寄りながらいつのまにかどこにいるのかわからなくなったような時間がどんどん過ぎる。午後2時前、食事を取るのに家からいちばん近い(コンビニとパン屋を除き)とんかつSでランチロースかつ定食に玉ねぎフライを一個追加して食べる。990円。キャベツおかわり。
 午後3時過ぎに出かけるSを駅まで自家用車で送る。そのさい、通り過ぎた床屋を見たら空いていたので、車をヨーカドー近くの駐車場に停めて床屋へ。1850円。私の髪を切った若者の散髪完了までは三倍速再生画面のようにものすごい速さ。過去最速の散髪経験、洗髪と髭剃り含めて15分もかからなかった感じ。私は床屋はなるべく早く終わって欲しい方なので、嬉しいが、びっくりした。Tシャツの上に薄い長そでシャツを一枚着ているだけで、街を行く人たちの平均よりは若干薄着。シャツはよれよれの上、上から二つ目のボタンが取れている。それが気になるが、それでも辻堂まで一駅だけ電車に乗って出かけてみる。メガネのジンズでいつもより度が低いメガネを新調する。近くが見えなくなってきたため。そのぶん遠景がぼけてしまう。いつものメガネをかけると0.8〜1.0くらいの矯正視力のところを0.6〜0.7にしてもらうと、近距離でピントが合う最短距離が5cmくらい近くなった気がする。
 茅ヶ崎に戻り片づけを継続。片づけはその初期段階において余計に部屋中がごちゃごちゃになって見える。ごちゃごちゃしているのは悪くない、というのは基本的に自分の好みのものがごちゃごちゃあるからおもちゃ箱をひっくり返したようだということか。久々に武満徹のCDなんかをかける。

 夜、Sを迎えに駅に行くMの運転する自家用車に同乗。助手席から雨の町をスナップする。こんなふうなぼけたりぶれたりしている写真を最近は撮らない、というより、撮れなくなっている気がする。もっと無手勝流に勝手気ままにカメラを振り回したい。無手勝流や勝手気ままなんてすぐにできそうで、なかなかできないものだ。