快晴の阿蘇


 快晴の草千里。
 2010年に阿蘇に来たときは霧と雨の日だった。中岳頂上までロープウェイで上がったが、火口はなにも見えなかった。白い霧の中に点在する派手な服を着た、海外からの旅行客団体の作る景色は面白かったけれど。今日は快晴。今度はちゃんと中岳の頂上が見物できるだろう。山並みハイウェイを走り、馬や牛が草をはむ牧草地のあいだをくねくねと登る。でも晴れた日の強烈な逆光の運転は目に悪いな。疲れ目がこわい。
 そしてとうとう中岳の駐車場に着いたのだが、なんと、火山性ガスが風向きでロープウェイの頂上駅の方に流れこんでいるとかでロープウェイは運休しているのだった。あとで知ったことだが9/25からずっと山頂は立ち入り禁止になっているそうだ。

 昨晩から今日にかけて泊まった黒川温泉の旅館はきれいでした。いわゆる昔ながらの昭和の温泉旅館、というのももちろん味があるが、今回泊まったような、たぶんとくに女性の注文をきめ細かく聞いて、料理のメニューや浴室の在り方に反映している最新の旅館は、安心してリラックスできますね。

 ウ〜ン、すいません、なんだかゆっくり文章を書いている時間がなくて、どうでもいいことばかり書いているな。

(以降、10/20追記)

 朝、宿を出て、中岳ロープウェイを目的地設定して出発する。黒川温泉から出てすぐ、新しい道が真っ直ぐと南へ続いているのに、ナビが途中で右折を指示。またもやまんまと引っかかって(?)旧道に導かれる。新道が出来立てほやほやでナビ情報が更新されなかったのか。しかし、そのおかげで、こんなふうに柔らかな丘と逆光のすすきの景色に出会う。(新道を行けば行ったでなにかに出会っていたかもしれないが)
 ビル・フリーゼルのフォークソングを演奏したアルバムをかけていく。


 昼食は草千里から山を降りて、ガイドブックに載っていた「千年の蔵 さ一蔵」という店に行く。車がすれ違えない細い道を恐る恐る進むと、広大な畑を前に阿蘇の山々が見渡せるところに駐車場があり、こんな路地の奥のわかりにくい場所なのに駐車場は一杯。ちょうど一台の車が出ていくところだったので運よく車を停めることが出来た。なんでも築200年の納屋を改築したという天井の高い店に靴を脱いで上がると、各席には炭火が起こしてある。木の桟で細く仕切られた窓からの傾き始めた陽射しの中にゆるりと薄い煙が揺れている。集煙装置がしっかりしているのか煙が目に浸みるようなことはない。高菜飯とだご汁の基本の(?)定食に、片一方だけは、炭火で焼く鳥肉のついているものを頼む。すると鶏肉と野菜がたっぷりと載った皿が出てきて、すごいボリューム。二人ともこれにしていたらとても食べられないくらい。網の上で焼いて食べる。鶏肉はこりこりとしていて素晴らしい。もう二時なので今日泊まる別府の旅館で出る夕食時までに空腹にならないのを危惧しつつも結局は、旨い旨いと、すべてたいらげてしまう。だご汁も高菜飯も美味しい。
 この店は、母屋と元は納屋だというこの店のほかに、カフェとか雑貨屋が一つの敷地内に建っていてその周りには小路と、庭木と、ほどよく荒れた(という表現がいいのかわからないが)庭がある。庭のコスモスはもう終わりの頃で少しだけ花が残っている。敷地の裏の農道にはブロック塀沿いにまだ盛んに花を付けたコスモスがずっと咲いていたが、抜かれたコスモスが束ねて置かれたところもあった。抜かれてもまだ最後の花が咲いている。昨日はあんなに雨が降っていたのに、秋の陽射しは乾いている感じがする。それはこういうもうすぐ枯れるコスモスの色合いや、ほかにも庭に植えられている植物の夏の濃緑とは打って変わった「色あせた」感じにただよう印象なのだろうな。この暖かいぼんやりとした昼下がりの季節はもうすぐ終わる。