雨模様の一日。午前、亡父の墓参。黒い傘をさしたまま墓の前でごそごそと、花を生けたり、お線香に火を付けたりする。そのあと、実家へ立ち寄り、母と妹と一緒に昼食を食べる。

 午後3時過ぎに、藤沢駅北口あたりにある数件の古書店、ブックサーカスとかブックオフとか、あと二軒ほどを、こんな表現じゃ判らないけど、気分としては雨だれが垂れるように「ぽたり、ぽたり」と見ていく。やっぱりアサヒカメラの古い号はどこにも置いていない。本は一冊も買わなかった。この前、新しくサウダージブックスから出た短編集を読んだ黒島伝治の古ーい文庫本(いまはない××文庫だった、××を忘れちゃったけど)を見つけたりしたものの、買うに至らず。あるいは、大岡信が日本の戦前の詩のころを書いたらしい晶文社の本を見つけたけれど買うに至らず。あるいは・・・。ブックサーカスは久しぶりに行ったら、従来一階にあった写真集やら文芸書は三階に移っていて一階はコミックになっていた。三階は写真集や文芸書の奥に、18禁の暖簾がかかってその先はそういう本のコーナーらしい。そっちには何人か若いお客さんがいる様子だが、写真集や文芸書のエリアには私しかいないのだった。

 急に雨脚が強くなり、カフェアロマという店で雨宿りする。二階のカウンター席で珈琲を飲みながら、大森兄弟著「犬はいつも足元にいて」を読み進む。ちょっと不穏な雰囲気がずっと続いている小説。まったくもっと個人的な感覚なのだろうが、伊井直行著「ポケットの中のレワニワ」なんかと読書中に、私自身が包まれる雰囲気のような、気分のようなものが、似ている感じがする。雨脚はますます強まり、そろそろ帰りたいのだが、雨宿りを続けるしかない。