テント


 たとえば、数年前まではちょうど良かったYシャツの首回りがきつくなってしまっていること。たとえば、数年間徐々に上昇してきたγGTPの値が「経過観察」から「精密検査」レベルへ移行してしまったこと。たとえば昼休みにはいつも走っていたのが、いまはもう自席へ戻ってはネットをだらだら見て過ごしてしまうこと。
 たとえばがいくつも積み重なって行って、少しは良いこともあるのか、たいていはあんまり良いとは思えない方向への変化が自然に放っておけば起きてしまっている。そういうことが老化を端的に言い表すとあるのだろうな。だから、それに反することにエネルギー、決意や努力を要することになる。
 そんなことに決意や努力を要さなくとも、自然に放っておいても、そう悪くはないぞ、良いことも降ってくるぞ、というのが特権だった年齢が、たぶんあったのだろう。
 今晩は、入社以来だいたいいつも同じテーマの仕事をしてきた先輩の送別会があった。先輩は上記のような決意や努力が出来る人だった。