今日も、午前の散歩


 最近は昼〜午後に私的な予定があることが多いこともあって、午前のうちにカメラを持って出掛けるようになっている。10日の土曜日も6時50分くらいに家のすぐ前のバス停留所からバスで茅ヶ崎駅へ。JRで大船、湘南モノレールで西鎌倉。ここのところ何度も行っている広町の森に、また行ってみる。朝の清々しい空気と光と、鳥の声と蛙の声に包まれるのが、ちょっとおおげさな言葉だが至福。
 この若々しい木は、風を受けてしなったときにだけ、葉の向きがある方向に変わったときだけ、木々や土地の形の隙間を抜けてきた日の光を受けることが出来る位置にあるようだった。そんな様子が面白くて、カメラを横にしたり縦にしたり、焦点距離をワイドにしたり少しだけテレにしたり、露出をマイナス1/3〜+2/3のあいだを行ったり来たりしてみたり、そんなこともしながらも、風がやむと影に溶け込み、風が吹くと、葉が輝きだす、その様子を何十枚も、もしかしたら百枚くらい撮り続けてしまった。しかし、家に帰って写真を見ると、そのときそこで私が見ていたその木の場面の「面白さ」は連続した時間の中の変化であって、すなわち動画の面白さであって、そのなかの一瞬に決定的瞬間が現れているようなことではない、ということであるように思えた。

 山(というほどのものじゃないけど)を越えて、また江ノ電鎌倉高校前駅まで歩く。今日は鎌倉行ではなく、藤沢行に乗る。藤沢に着くと、ビックカメラの裏の方にある灯(ともしび)という古めかしい喫茶店に行き、モーニングセットを食べる。ここのところの午前の散歩には喫茶店のモーニングを食べることも楽しみの一つになりつつあるのだった。
 バタートーストに、チーズとハムと、トマトとキャベツのサラダと、ゆで卵も付いている。珈琲とセットで630円だった。ゆで卵の殻はするすると剥くことが出来て、こういうことって些細なことだが気持ちが良い。

 小川洋子著「ことり」読了。

ことり

ことり