眼鏡とか、ホッケとか


 22日土曜日、晴れ薄曇り。夜遅くから雨。朝、起きだして枕元にある小さなフルセグテレビを付けると、ワールドカップサッカーの、大抵は後半が映る。後半が映るのは私が起きるのがだいたい5時台であることと関係しているのか。別に事前にどことどこの対戦が見られるのかは調べていない。付けて映った試合を数十分ぼんやりと眺めてから、試合の途中だろうと、さてさてとばかり動き始める。動くというのはトイレに行ったり、歯を磨いて顔を洗ったり、伸びをしてみて、水を飲み、着替えたりするということ。金曜日だったかな、イングランドウルグアイに1-0で負けていて、そういう「動き始めて」やることを終えて、部屋に戻ってきたら、2-1になっていた。そのあいだにルーニー弾で同点になり、スアレス弾でまた突き放したそうだがリアルタイムでは見れなかった。土曜日はフランスとスイスの試合が映って、なんと5-0である。驚いて、でもしばらくぼーっとしていたら5-2になった。サッカーというのはそのチームの持てる力が全部出た場合には、シュート数×シュートが決まる確率、で可能性が決まり、あとはその確率が、切り出したその試合のなかでどういう偶然に左右されるかだから、必ず強い方が勝つというわけではなく偶然の入り込む余地が残っている。偶然を排除するには同じ相手と五試合やってみるとか、リーグ戦のように数十試合やってみるとか、そうすれば偶然がだんだん排除されて本当に強いところが判ってくるのだろう。しかし、そこにメンタル面がからんでくると、なかなか上に書いた「持てる力が全部出る」ということができなくなり、それが続くと「持てる力」自体も低下したりするから水物である。また、とくにワールドカップのような数試合で予選抜けし、決勝はトーナメントとなると、偶然の要素が増えるから、それでも常勝するには、相当な実力差とメンタルコントロールの両立が必要だ。ということから、偶然により必ずしもフェアに力関係が表出しないから面白いのだがその前提は力を出し切るということで、それをしていないと「サッカーの神様」は微笑まない、なんて言い方になるのだろう。だから一つの試合の一つの場面をとらえて、やれ川島が二点目は抑えて欲しかったとか、やれ大久保が超決定機を外したのがいけないとか、そういう局所の瞬間だけを見た指摘なんかはちゃんちゃらおかしいのではないか。とか言いながら、やっぱり局所の瞬間を見て、なんで斎藤を呼んでおいて出さないのだ!?とか思うけど。

 ひと月ほど前からJINSのとある眼鏡フレームを気に入っていて、近々に眼鏡を作りたいと思っていた。しかし自分自身の見立てに自信がないので逡巡していたが、先日家族の某とテラスモール(辻堂駅前のショッピングエリア)を歩いていたらJINSがあったので、そのフレームを掛けてみて、どう?って聞いたら、似合うよ、と言うのでヨシヨシと思い、買うことにしていた。金曜日にまたテラスモールに行く機会があったのでJINSに行って、いよいよ買う気満々だったのだが、なんと商品ががらりと入れ替わっていて所望の眼鏡フレームがない。店の人に聞いたら、たしかに最近入れ替えを行ったと言う、ここになければない、という感じで対応策を提示してくれない。他の店舗なら可能性があるのかないのか、他も一斉に商品を入れ替えるのかどうか、より大きな店舗がどこにありそこなら可能性があるのか、とかなんとかもうちょっと教えてくれればいいのにね、とちらりと思った。
 土曜日、知人の森川くんが西恵比寿のカフェIL SOLITO(って言ったかな?)で個展をしているというので出かける。イスラエルで撮ってきた写真の展示。なにか解説をしてもらうとそこに戦争の気配や具体的爪痕が写っているのかな?と思うのだが、なぜなら彼からそう聞いたことがあったから、しかし写真を見てもそう解釈するのが妥当なのかもしれない鉄条網とかが写っていても、そうじゃないのかもしれず、判然としない。そこでそういう情報を遮断して写真だけを見ようと試みると、エグルストンばりの乾いた風の吹く、日本人の目には異国情緒があってかっこよく見えるような風景が写っている。しかしそういう見方でいいものなのか?不安定な気持ちが消えない写真展。それが彼の狙いならすごい。
 このカフェはたまたまなのか店内には英語が飛び交っていて、若い人ばかりで、ちょっと勇気のいる場所でした。
 という鑑賞のあと広尾から地下鉄にのって日比谷へ。有楽町の阪急にJINSがあるので立ち寄ってみると、かろうじてお目当てのフレームがあった(同じ種類のレンズ形状がもっと丸かったりもっと四角のやつはなかった)。それで眼鏡を新調。というか、また増えてしまった。数年前の正月に一番気に入っていたフレームを折ってしまってからどうもイマイチが継続している眼鏡の迷走です。

 そのあと蒲田の喫茶店ニセアカシア編集会議。五号に向け原稿も大詰め。終わってから干物の居酒屋でホッケを食べた。