射的の撃ち方


 温泉の射的場のライフルの持ち方と言えば、この写真に写っているカウンターから、身を乗り出すようにして、更には手をめいっぱいに伸ばしてライフルの先端を景品に接近させて撃つのが、温泉の射的場の「正しい姿勢」で、そのときの制服に当たるのは浴衣姿だったのだろう。以前は二十数軒もこうしたゲーム場があったと丸顔の御婆ちゃんが言った。AMラジオで誰かが話している。壁には人気演歌歌手のポスターが何枚も、きれいに高さを揃えて貼ってある。いまは二軒だけ。昼下がりのこの時間から店を開けているのは一軒、ここだけだった。以前は、昼間っからカランカランと下駄の音を立てながら、大勢の客がこの前の通りを歩いていた、そうだ。いまはほとんど誰も通らない。私は制服たる浴衣を着ていない。御婆ちゃんがサービスでもう一皿、十発だかのコルク玉を出してくれる。後ろの壁まで下がって撃って景品を倒したらポイントがたくさん付くのだと言った。そこでライフルを、こんな感じで持つのが本当のライフル銃の持ち方なんだろうと思う持ち方で構えて、後ろの壁から撃ってみた。もちろん当たらない。当たらないどころか玉がどこに飛んでいったかも見極められない。
 倒した景品の点数をこのおはじきで集計して最後に引き換え賞品の中から選ぶシステム。落とした人形がそのままもらえるわけではないのだった。ミルクチョコレートとミルキーをもらって帰る。
 昭和30年代、40年代のころ、父が勤めていた会社の社員旅行でどこかの温泉に行くといろんな土産を買ってきた。なかには水をいれるとヌード写真が現れる御猪口なんてのもあったのではなかったか。父の社員旅行のネガに写った写真を見ると浴衣を着た同僚たちが温泉宿の卓球室で遊んでいる写真などがあった。
 伊豆長岡です。下の写真は温泉街にあった餃子の店の餃子。夕飯には新鮮な魚介が食べられるだろうからと、昼は餃子屋にしてみた。餃子小/中/大があって中を頼んだが小にすればよかったな、ボリューム有り。シンプルで美味しい。
追記)
調べてみたら沼津餃子と呼ばれている焼いてから蒸すような餃子があるようで。聞いたこともなかったけれど、どうやらこれは沼津餃子に近いらしい。