むかしへ


 一年前のこの季節に撮った写真を眺めていた。これは一年前の10/23に横浜橋商店街あたりで撮った写真。夜が日に日に早く来るようになって、すでに秋分を過ぎてきて、まだ寒くはないけれど、寒い空気が街を覆うのは時間の問題で、だからブラッドベリは「十月は黄昏の国」なんて言ったのかもしれないな(タイトルの所以を調べていないからまったくの見当違いかもしれない)。きっとみんな人恋しくて、「むかし」なんて名前のスナックに、中年や老年の男たちは吸い込まれていってしまう。さて、どんな昔語りが夜な夜な語られているのか。泡のように浮かんでは消えていくような、ささやかで個人的などうでもいい愛らしいはなし。すでに頭の中の記憶装置にはたくさんの昔のことが溜め込まれているからもう新しいことは覚えない。だけどここで昔語りをして、そうしてしまえば、少しだけ隙間が増えるから、わずかにみんな若返って、新しい記憶を溜め込むことが出来る。でも結局は、それはやはり無理というもので、入ってきてはいけない新しい記憶は、そこに収まっていた古い記憶をかき乱してしまう。その結果、秋の夜長に、スナック「むかし」のある前の公園では・・・・・が、繰り広げられ・・・、なんてブラッドベリ風味の小話をでっちあげようかな。
 飲めない私は、一人でスナックやバーや居酒屋に入っていく勇気をいまだかつて持てたことがなくて、五十代にもなって情けないことで。だから一方でそういう晩秋の夜長の過ごし方にあこがれを抱いている、のかもしれない。

10月はたそがれの国 (創元SF文庫)

10月はたそがれの国 (創元SF文庫)


 PS 11/3-5に京都に行くかもしれません。ニセアカシア編集長のAbHayashiさんが元締めのメタセコイア写真グループのグループ展に合わせて。ちょうどそのころなにか面白い、小さなイベント、やっていませんか?京都で。知恩寺秋の古本まつりは11/3までですね、それだけは調べた。
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