天使の置物

 2月4日日曜日、南関東は午前は氷雨。昼前に上がったが寒い日曜日になった。最高気温は8℃だった。明日の月曜日はもっと寒くなり、午後には降雪の可能性もあるようだ。昼頃に、海沿いの国道を車で走り、横須賀市の県営立石海岸駐車場へ。無料の駐車場で、晴れていると並ぶときもあるが、今日はすんなりと停めることができる。むしろ海岸を散歩していたり立石の岩場の展望台から海を見ている人が数人しかおらず、パドルサーフィンやカヌーで遊ぶ人は一人も見えず、釣り客もいないのに、八割程度駐車場が埋まっているのはなぜなんだ?と考えてしまう。すぐそばのレストランの建物工事に来ている職人さんの車が、五台くらいはあったかもしれないが。すぐ近くの地味な(よく行く)レストランで、牛レバーと玉葱ソテーにライス小、食後にリコッタチーズの蜂蜜掛けとコーヒー。その後、少し立石海岸を散歩して写真を撮ってから車に戻り、ポッドキャスト番組を聴きながら読書をしていると、途端に眠くなり車の後部座席に足を折りたたんで丸くなって寝転がり、しばらく寝てしまった。だんだん車中が冷えてきたので目が覚めて、もう少し読書を進めてから、エンジンをかけて少し車内を暖めた。ずーっと前に買ったまま読まずにいた2017年に東京R不動産とUR都市機構が出版した「団地のはなし」という団地にまつわる作品を集めた本を読み切る。山内マリコと松田青子の短編、最果タヒの詩、ジェーン・スー佐々木俊尚の対談、茂木綾子の写真とエッセイ、カシワイの漫画、等。それからトイレに行き、自動販売機でミニッツメイドの柚子のホットドリンクを買ってきて車内で飲んでから、もういちどカメラを持って辺りを歩いてみた。

 ほんの少し雲の薄いところに水色の空が見えるところもなくはないが、どんよりとした低い雲が空を覆っていて、寒さがしみる。波はほとんど立たず、ほぼ無風で、その海面に胸が白い海鳥が集まって浮かんでいるが、みな首を畳んで丸くなって眠っているようだ。一羽だけが海面をすいすい泳ぎ、ときどき海に潜って行く。いちど潜ると長い時間浮上せず、潜った場所と離れたところに浮かんだのかな?とうとう潜ったあとが見つからない。

 砂浜にいる人たちは皆熱心に下を向いてなにかを探している。桜貝なのだろうか?私も彼らのいる場所に行って足元の小石や貝殻の中を探してみるが桜貝など見つからない。あるいは別のなにかを探しているのだろうか?わたしはいくつか小石を拾ってポケットに入れた。

 ここは砂浜の際まで住宅が迫っている。上の写真はガレージなのかな、ガレージの奥にちょっとした作業スペース、机や椅子も置かれている「主に男性が憧れる秘密基地みたい」な小屋なんじゃないか?よくわからないけれど、そういう小屋の入り口に置かれている天使です。数年前、今日と同じように休日を過ごした日があったのだろう、この道を歩くとき天使に気が付いた。そのときに撮った写真をこのブログにももしかすると載せたかもしれない。ここに行くとこれを撮るという極私的な定番被写体というのがあるもので、せいぜい年に二度くらい、今日のように休日を過ごすときに、この小屋の前の道を歩くとこの天使を撮ることになっている。そして写真を撮る行為はそのときの光景が写真プリントやモニターで見なくても、シャッターとともに記憶される節目になっている(シャッターを押さなかったときに見ていた光景より押したときの光景の方を覚えている確率が高いと思う)。そしてその記憶によると、いつも曇っているときに天使を見ている。これはたまたまではなく、天気がいまいちの日に特に予定がないと、立石海岸で車中読書でくつろごうと思い立つことになっているんじゃないか。そしてこういうのは思い立って妄想したときがいちばん素敵で、実際にそうしているときはそれはそれでリラックスしているものの妄想までは届かない。なにしろ身体を丸めないと眠れない狭さなんだから・・・。とにかくも、今日もまた曇りの日にこの天使の前を通り、今日はいつになくずいぶんたくさんの写真を撮ってみた。波打ち際を犬を連れて散歩してる人がぼけて写っている。このぼけの程度はここまでではなく、もう少しはっきりとした方がいいんだろうな、写真テク的にはね・・・どうでもいいけど。

 結局、12時に到着して16時過ぎまで過ごしてから帰宅しました。たまに駐車場の空きを待っている車が2台か3台列になっていることもあったが、とくに14時半以降はいつでも停められる感じだった。帰り道、西の空だけほんの少し雲が切れて、そこから日の光が差し込み、海面が光を反射して光っている。材木座海岸由比ヶ浜は砂浜にいる人たちがシルエットになってフォトジェニックな感じになっていた。それを眺めながら、帰りましたが、当然運転しているから写真には撮っていません。

 もう一枚、秋谷海岸の写真を下に貼っておきます。画面中央から少し右に赤い鳥居があり、その右に肌色のような不思議なかたちの建物があり、その建物の手前に被るように写っている平屋の地味な小屋が見える。それが天使の置物のある小屋です。