桜貝を拾う人

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1/5の早朝のラジオ天気予報で、南岸低気圧は予想より南に進み、雪は降っても積もることはないだろう、と聞いたのでそれを信じていたら、1/6は昼頃から南関東はずいぶん雪が降り、数センチとは言え東京でも神奈川でも雪が積もった。でも写真は雪の日に撮ったものではなくて1/3に鎌倉の由比ガ浜で撮ったもの。この人たちは桜貝の貝殻を探している。帰宅後にネットで調べると桜貝は一年中拾えるらしい。ネットには、11月が良いとか、春から夏が良いとか、いろんな記事があるようだった。そんな様子を見ていてちょっとだけ私も探してみたけれど、簡単には見つからなかったな。一つ前のブログには砂浜で拾ってきた小石のことを書いたけど、この日は小石も拾わなかった。砂浜に落ちていたもの・・・そういえば、1974年頃、高校の写真部で、家(いまの茅ケ崎の家ではなく実家ですね)からすぐの砂浜に行っては落ちているものの写真を撮っていたから、なんだ、昔から砂浜で足元に注目する癖があったんじゃないか。高校のときに撮った写真、うろ覚えだけど、小魚の死骸とか二枚貝(桜貝ではない普通の浅利のような)の貝殻とかを撮って、高校の文化祭の日に校舎の廊下に写真を飾ったりした。考えてみると魚の死骸の写真とか・・・いったいなんでしょうね。

1977年頃に、やっぱり砂浜に行ったら、ジャムの瓶が落ちていて写真を撮った。あんずの絵が描かれたラベルにはロシア語が書かれていた。ロシア語ということは、ロシア語が話せる人が、撮ってから十年後くらいにたまたま写真を見てそう教えてくれてわかったのだった。モノクロ写真だけれど、そのガラスはちょっと青みを帯びていて、傾いた日が瓶を照らしていて、あんずの絵がちゃんと上を向いて落ちていた。その写真を、なんかちょっといいな、と気に入っていたた。ずっとその瓶は海を漂って、どこかの異国から潮に乗って湘南の砂浜にたどり着いたと思い込んでいて、その物語に酔っていたんだろう。1978年には大学の研究室の先輩(大学院の一年だったGさん)から私の下宿に呼び出しがあり、Gさんの彼女のAさんが誕生日でラーケン(というお洒落なバー)でお祝いがてら飲んでいるからお前も来いと言われた。それでAさんへの誕生日プレゼントに、このロシアのジャムの瓶が砂浜に落ちている写真を持って行ってプレゼントした。たぶん六つ切りプリント。だけど、その写真を受け取ったAさんは、なにこれ?という感じで、なんでこんなつまらない写真・・・と言った感じで、終わった。

40年経ったいまになって急に気が付いてしまったのは、そんな風に海を流れてきたものだとすると、

①割れるだろうし、割れなければ、

②沈むだろうし、だいいち、

③ラベルの紙などすぐに剥がれるに決まっている。

と言うことは、あのロシアのジャムの瓶は、その砂浜に来た人が持っていて、砂浜に捨てて行ったってことだったのかな。でもなぜロシアのジャム。ちょっと調べてみると今であればロシアのジャムを通販で買うことは出来る(ってことはロシアのジャムを置いてある店もあるだろう。だけど70年代に買えたものだったのだろうか?

40年くらいずっと流れ着いたものだと思い込んでいたのだから思い込みも甚だしい。そういえば一時期急に人気が沸騰してすぐに鎮静化した「たま」というフォークロックバンドに「ロシヤのパン」って曲があった。

雪の日に書いた雪とは関係のないお話でした。