
10月になりましたが、相変わらず暑い日が多いですね。最高気温も30℃前後をうろうろと。日が沈む時間、日が昇る時間、それだけはちゃんと動いています。もう夜になるのがだいぶ早くなりました。
車を運転しているときに、USBメモリーに入れてきた音楽アルバムを再生していることが多いです。それもよく再生するアルバムと、滅多に選ばないアルバムがあります。昨日、そんな「滅多に選ばない」アルバム、とは言ってもUSBに入れる時に選んでいるのだから好きなアルバムであることは間違いないのですが、ジャズピアノの大御所のひとり、マッコイ・タイナーの「ザ・リアル・マッコイ」を流してみました。このピアニストは1938年生まれ2020年、81歳で亡くなりました。
たぶん1976年か77年頃かな、彼は40歳弱だったのでしょう、名古屋のホールでライブを聴いたことがありました。学生だったわたしは、その名前を知っていて、コンサートに行くことで「箔が付く」感じの生意気だったのでしょう、その音楽はよくわからないまま、すなわち心がその音楽を受け入れる術も身に着けていないまま、それでもステージを二階席から注視していたように思います。このアルバムは一曲目と二曲目のちょっと勢いがあって行きつく島もない切羽詰まった感じもあり、それがマッコイの特徴なんだろうなと思っていましたが、あらためて聞くと「平和を探して/Search for Peace」という曲の繊細さ、美しさ、そこに流れる願い、が心に沁みました。戦争があちこちで起きて、一般の方が十人、百人、千人といった単位で命を落としていく、そういう時代に聴くからよけいそう感じたのかもしれません。
写真は三浦半島西海岸の葉山町を少し南にくだり、横須賀市に入ったところにある秋谷、近くに立石という海から突き出た岩礁のある、泉鏡花の草迷宮の舞台になった秋谷の海岸で撮りました。南東海上に台風があるため、南風が吹いていました。波はそれほど高くはないのですが、風が運ぶ細かい霧状の海水が舞っていて、それは車を運転しているとすぐにフロントグラスが曇ってしまうことでよくわかりました。
真夏が過ぎた海岸は、満開の花が散ったあとの桜並木のようでしょうか?あるいは祭りのあとの日々のようでしょうか?少し茫然としてしまうような、意識が過去に向いていて次にやること、計画に積極的な気持ちが向かない感じかもしれません(などと10月に書いているのもおかしいですね、本来は9月に感じることじゃないのかな)。それでも海に行ってみれば、南風に髪が揺すられ、多くはないけれどそこに来ている人がいる。春や夏より少人数で、ひとりかふたり連れが多いようでした。ひとしきり砂浜とその近くの住宅地?漁村?別荘も?のある街区を歩き、久々にフイルムカメラで写真も撮りました。赤い彼岸花を見つけてピントリングを回して、ピントグラスに結ぶ像がはっきりするところを探りました。そういう風に歩いているうちに、「あぁ・・・」と思いますね。あぁ・・・のあとが何なんだかよくわかりませんが。笑っちゃいますが、あぁ・・・なのです。そして日々が進み、季節が進み、きっとまた季節に相応しいあれこれを食べたり飲んだり話たり、着たり行ったり撮ったり、するんでしょう。
