京都旅行 二日目


 予報どおりの雨模様。写真は一乗寺のとある街角。
 林林さんと一乗寺駅で合流して11時半ころに詩仙堂へ。昨夏、快晴の昼間、この庭の白砂の反射が美しく、魅了されたが、今日は小雨。もし私一人だったら、私の中では快晴の詩仙堂の美しさが記憶されているので、天気が悪い時点で既にがっかりしてしまい、そうなると雨の日の詩仙堂に何かを見つけることはできなかったかもしれない。定食屋で定番メニューをこれと決めて、何回通ってもほかは試さない、という質ではないのだが。でも「詩仙堂は晴れに限る」なんていうのはそれに近い心の持ちようだろう。ところが林林さんが同行し、そもそも普段撮る写真でも私は快晴の日に撮りたい(もしくは夜)方で、林林さんは曇天のフラットな光線を愛でる方だから、雨の詩仙堂で彼はすっかりと楽しんでいて、こちらも光の具合やら雨に濡れた植物の輝きやらにあらためて気持ちを向けることになった。
 庭を望む縁側に座っていると、気持ちのよい風が吹いてくる。林林さんの解説によれば、そういう場所で涼むのは夏の季語なのだそうだ。

端居(はしい、はしゐ)
夏の季語。縁側などに出て涼を求めてくつろぐこと。「端」とは家屋の端で、つまり縁側のようなところ。例えば風呂から上がって浴衣に着替え、涼しい風にあたってほっとするひとときである。
「納涼(すずみ)」は外に出て涼を求めることが多いが、端居は家にいて涼を得るのである。

 冬の晴れた日に低い光線がナナメにさしてくるときにも来てみたいですね、と林林さんは言っている。

 その後、電車で東福寺。芬陀院の雪舟庭園を見物。鶴島亀島などをあつらえた石庭は、さきほどの詩仙堂の庭のような自由な解釈が出来ない。どちらかと言えば詩仙堂の庭の方が好きだ、というのが彼の意見。しかし私はやはり晴れにこだわり、晴れた日に樹影がちらちらと動く、芬陀院の東の小さな庭がいちばん好きなのだ。でもこれも過去のある日にここで小一時間過ごしたときがなんだかすごくよくて、そのよさが記憶に残っているから、今日の芬陀院ではないのにその日の芬陀院をイメージしてそう思っているのだろう。

 そののち、建仁寺の大統院で公開中の円山応挙による幽霊図を見学。鴨川沿いの百日紅の花を見たりしながら北上、四条河原町から北に行き、蛸薬師を東に入り、さらに細い路地を北へ上がったあたりにあるエレファント・ファクトリー・コーヒーで休む。マスターが丁寧にコーヒーに湯をドロップしている様子をぼんやりと眺めながら、EFブレンドNO6をブラックで飲む。飲みやすい。


 夜、新京極スーパーホテル前の京極食堂奈於にヒラタさんS野さん、若いTとSくん、林林さんと私、集まりみなで飲み食い。お造りや角煮、天婦羅が美味しい。写真は須田塾の作文好きの集まりニセアカシアの名前をキープボトルに書く林林氏。