先週土曜の朝日新聞朝刊湘南版ページで、県立相模原公園にあるメタセコイア並木がライトアップされているという記事が載っていた。ライトアップ期間はもう終了してしまったようだ。それでも、県立相模原公園という公園があること自体知らなかったし、メタセコイアの並木というのにも興味があったので、茅ヶ崎駅から相模線に一時間ほど乗って原当麻駅へ行き、そこから歩いてその公園に行ってみた。メタセコイアは落葉が進んでいて、もう紅葉の盛りを過ぎている。さらに今日は強風で、風が吹いてくると多量の葉が風に吹き上げられ、それが髪の中は勿論のこと、首の隙間からシャツの中まで、茶色く細長い葉が入り込んでくるのだった。快晴の土曜日の午前だが、人は少ない。高校なのか大学なのか、陸上部らしき若い男性が数人、マネージャーの笛の音をスタートの合図にして、坂道を全力で走っている。小学校四年か五年くらいの男の子二人は噴水の風下で青いビニールボールを投げ合っているから頭からすっかりびしょ濡れだ。それにしても今日は暖かい。公園は女子美術大学と並んであって、帰路は女子美前バス停から相模大野駅までバスに乗った。
相模大野では、なんだかカツ丼が食べたくなっている。なか卯を見つけたが、チェーン店でない店で食べたくてうろうろする。やがて広島風お好み焼きの店のランチメニューに何故だかカツ丼を発見して600円のランチカツ丼を食べた。が、またいつもの悪い癖で、カツ丼を食べながらお好み焼きが食べたくなったりしている。
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相模大野から小田急線で本鵠沼へ。余白やさんの自宅ガレージ前の屋台古書店へ行き、珈琲をいただきながらしばらくしゃべる。最近仕入れたとのこと、大正時代のものらしき前田寛治画集を見せていただく。グレー地に裸婦の絵のモノクロ写真を置きさらにパラフィン紙でくるまれていて、そういう表紙全体が(写真の部分だけでなく灰色の部分も含めて)ふるいモノクロームの写真のようにシックで感心する。
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秋の日はつるべ落とし、すぐに夕暮れがやってくる。藤沢駅まで歩く。有隣堂の五階に出来た古書店出張売り場(古書店別の本棚がある一角)で、昭和42年発行の「西脇順三郎詩集 鮎川信夫編/世界の詩シリーズ50」を200円で購入。
18時にむすめと茅ヶ崎駅で待ち合わせ。先に駅に着いたのでドトール珈琲でその詩集をぺらぺらめくる。旅人かへらずの詩は、まさにこの晩秋もしくは初冬の短い午後の、その午後の最後の日の光を、陽だまりから掌に掬い取って、しかしそれは結局は指のあいだから全てこぼれ落ちてしまい、最後の光の粒が消えてなくなったときに悄然と立ち尽くしてしまっている自分がいて、そういう悄然としている自分を観察している第三者的な自分が淋しさをオブラートにくるんでから言葉に変えた・・・みたいな・・・あれまあ、なんとおセンチなことでしょう。
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旅人かへらず より
二
窓に
うす明りのつく
人の世の淋しき
三
自然の世の淋しき
睡眠の淋しき
四
かたい庭
五
やぶがらし
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上の写真は本鵠沼の分譲住宅。結構広い原っぱがあったのがあったいうまに家になってきた。
下の写真は相模原公園。風が見えるでしょうか?
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