28日から一泊で京都へ。朝9時過ぎに京都駅着。すごい観光客の数。地下鉄とバスを素早くスムーズに乗り継いで大徳寺高桐院に行ってみた。今年の京都の紅葉は「イマイチ」らしい。これからいよいよ木々の葉が赤や黄に染まっていくというそのころに嵐のような日があって、葉が中途半端に紅葉したところで散ってしまったり、痛んでしまったり、したそうだ。それに来るのがもう一週間前だったらよかったのかもしれない。よく観光の本に載っているような参道沿いが散り紅葉による赤くなった景色、あるいは庭一面の赤、なんてのは見ることができず、すでに散ったのにち赤い色もぬけて茶色くかさかさになった落葉が風に吹き寄せられて苔の庭にまだら模様を作っている。
 しかし一方で奥の庭の方は黄色や赤に色づいた紅葉が盛りだった。
 そのあと、バスで高野。恵文社を急ぎ覗いてから、圓光寺。曇ってきていてすでに紅葉を概ね散らしてしまった木々は寒々しいのだが、一瞬日の光が差し込むと、それでもきれいだ。写真に撮ると何故だかもっときれいに見える。なんか抗生物質投与みたいで怪しいな。最近のデジカメ、風景モードやオートモードはコントラストだか彩度設定だかがナチュラルよりプラス設定になっているのが普通のようだからそう写るのか。鳥が四羽か五羽程度かもしれないがグループになって木々を渡っていく。シジュウカラかコガラかエガラかゴジュウカラか、詳しいところは判らないが小さな鳥だった。
 その後別の新幹線で来た家族のMとSと合流。上賀茂神社、早めの夕食、夜に随心院の紅葉ライトアップを見に行く。永観堂や清水のライトアップはものすごい人手で身動きすら出来ないと聞いていた。本当にそうだったのかどうかは判らないけれど。それで、そこまでの人出はないのだろうと予想して隋心院に行った。客はほかに家族連れやカップルがそれぞれ二組か三組かいるだけだった。春の桜にせよ紅葉にせよ、ライトアップするとそれが盛りなのかどうか判らないままで、きれいに見える。少し寒いこと。足が冷えること。他の客の話す小さな声がふと聞えること。そう言うのが「私が感じる」空間を作っている。
 今回は私だけMとSが最初に予約してあったJRツアーズのホテル付きパックの日に合わせて一週間前にホテルと新幹線を別に予約した。ホテルはすんごく高価なところしか空いてないのに腐らずに毎日チェックしているとキャンセルが出るビジネスホテルを見つけることができることが多い。今回も一週間くらい前にスーパーホテル五条に空きが出たので予約した。
 そのホテルにチェックインして、ホテル近隣マップと言う手作りの資料を見たら、歩いて1分かからないすぐ近くにスペイン風カフェバーがあるとあった。そこに行ってみる。カウンターの二人組みと四人組みのあいだの一人席に滑り込む。四人の男の子たちは友だちの結婚式を控えて、うち一人が頼まれているスピーチをどうするかを目下の重要議題にしつつも、近況報告に盛り上がっている。二人の女の子たちはひそひそと会社や恋人のはなしをしているらしい。私は飲めないくせにグラスで赤ワインをたのみ、すぐに顔が真っ赤に火照る。持って言ったラッタウット・ラーブチャルーンサップ著「観光」(短編集)の一編目「ガイジン」と言うタイトルの話を読む。名物とあったスペイン風オムレツを頼んだら、ものすごく大きくてびっくり。これは食べきれないな、と思ったが美味しくてぜんぶ食べてしまった。23時半にホテルに戻りシャワーを浴びてから寝る。