会社帰り、むかしは茅ヶ崎駅から家まで毎日歩いていた。いまはバスばかりで歩くことは滅多にない。およそ25分の道のり。雨上がり、風が吹く。その風に誘われるようにして、むかしのようにカメラを首にぶら下げて歩く。むかしって言うけれど、例えば三十年近く前であれば、コンタックスTとかライツミノルタCLなどにTMAX400やトライXを入れて撮っていた。そのあとデジカメの時代になって、それは2004年くらいからか、最初は300万画素、ついで500万画素のコンデジだった。あのころの写真はぶれていてノイジーで色乗りも悪い。すなわち技術的には低画質なわけだが、それでも、ではそういう今から比べると劣った機材で撮った写真がすべてもう価値がないのか?と言うと、そんなことは全然ないわけで、そこが面白い。
ロバート・キャパにせよ、ドアノーにせよ、ブレッソンにせよ、木村伊兵衛にせよ、ロバート・フランクにせよ、ウィリアム・クラインにせよ、撮っていた写真は、いまのカメラを評価する各項目では、ずっと劣っている機材だったわけだが、それでは彼らを越える写真が生まれる確率が機材の発展とともに上がっているのかしら?と懐疑的になる。
ま、とにかく、帰り道に撮った写真です。