先週、太田和公園のつつじの丘では、丘の上の方の斜面を覆いつくすつつじの花はまだ満開に至っていなかった。一週間経って、十連休初日の本日、きっと満開に違いないと思い定め、曇天のなか、自家用車を運転して行ってみた。連休が始まった日だというのに、茅ヶ崎から国道134号を行き、葉山のトンネルの先を右折、御用邸に突き当たり左折、立石海岸を通り越してしばらく行き、左折して、と、ナビの案内通りに進むあいだ、どこも渋滞していない。そして、驚いたことに、とはいえこれはつつじの花の期間がどれくらい続くものかという知識がないままに思い込みをしていた私のせいで勝手に驚いているだけなのだが、つつじの花は満開を過ぎていた。寒い。公園の上の方には、誰もいない。満開を過ぎたとはいえ、両側に赤やピンクや白い花をたわわに咲かせたつつじに囲まれた小道を上って行く。澄んだ鳥の声だけが四方から聞こえてくる。
子供の頃、小学生低学年か幼稚園か、一人で留守番をしているときに心細さと怖さのすえに、怖い妄想をしたことが何度かあった。一つは家の周りに熊がいてそのうちに襲ってくるという妄想。もう一つはこの家はいま空を飛んでいるという妄想。ともに、なにかそういう妄想に至る話を聞かされていたのだ。後者はたぶんオズの魔法使い。ドロシーがオズの国に飛ばされるのは家ごとだったのでは?それでそういう妄想をしたのではないか。その妄想、とは言え、そのときの私は、そうなっているに違いないと思い込み本当に怖かったわけで、とても外を見て(飛んでいないことを)確認するということが出来ずにいた。
一人は怖い。きっとこのつつじの道を歩いているのが小学生の私だったら、この瞬間、世の中が消えていて、私だけがただ一人この場所に閉じ込められている、あるいは、取り残されている、というようなことを思ったのではないか。
でもいまは怖くない。それがいいことなのかわからない。
帰り道、立石にある無料の県営駐車場に何台も空きがあって、並ぶこともなくすっと停められる。上の写真のような曇天。このあととうとう雨が降り出し、その雨は激しくなり、終日、続いたのだった。上の写真はなんだかヨーロッパの小難しい映画の一場面のようだった。