あおすじあげは

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関東南部、午前から曇りがちで午後には上空に寒気が流れ込み雨も降るだろう、という天気予報を聴いていたが、少なくとも午前中は晴れもしくは薄曇りで推移した。風は少し強かった。もうつつじの花もピークは越えたが、それでも自宅マンションの植え込みのつつじはピークは越えたもののまだまだ花を付けているから、横須賀の大田和つつじの丘のつつじだって同じような感じだろうと思い、つつじの丘のHPには一昨日時点で高いところに残っていた満開の株もすでに終わりかけと書いてあったにもかかわらず、まだまだ咲いてるんじゃないのかな?と思って自家用車を運転して行ってみた。このブログでは2019年の4月20日にその場所で撮ったつつじの写真を使っています。行ってみたら、想像していた以上に、もうまったくもってほとんど花は散っていて、この公園は小高い丘の斜面にずっと上の方までつつじの株がたくさん(ウィキペディアによると5万株だそうだ)植えられているのだが、その一番上の方の少しだけ、全体の1%にも満たない株が、かろうじて満開ちょっと過ぎ、という感じで花を付けていた。それで下のようなそのなかから特異的に枯れた花が写らない場所を探して作画して何枚か写真を撮ったりしたが、なんか通り一遍の撮影をしているだけな感じであんまり写欲が掻き立てられない。熱中もしない。良かったのは、鶯をはじめとした小鳥の声があちらこちらから様々な囀りできれいに聞こえていたことだった。たぶん一週間から十日前が今年の見ごろだったのだろう。

大田和つつじの丘のあとに立石海岸に、ここには海を見渡せる場所に無料の県営駐車場があるのでよく行くのだが、行ってみる。駐車場待ちの列が国道?県道?まではみ出ると断念して通り過ぎるしかないのだが(今日はいつもはいない駐車場案内のおじさんがいてはみ出した車は並ばないようにと仕切っていた)、運よくぎりぎり駐車場に続く坂道に並べた。そして十分か十五分並んで駐車場に停めることが出来た。このブログにも立石海岸で撮った写真は過去にたくさん使ってきた。泉鏡花の「草迷宮」はこの辺りを舞台にした小説とのことで立石海岸沿いのちょっとした公園にはその石碑と解説文がある。何年かまえ、その小説を読んだことがあったけれど、もう物語をよく覚えてない。

その立石海岸の海を見渡せる場所に置かれているベンチで海風をちょっとだけ寒いかな・・・などと感じながら、読書をしました。一時間強くらい。読んでいたのは出版業界を舞台にした「本のエンドロール」という小説なんだけど、どうせなら「草迷宮」を読めばよかったかな。あるいは、いまふと思いついただけなんだけど、堀江敏幸の「熊の敷石」とかどうだろう、いやいやブローティガンの「芝生の復讐」かな。そういえば先日、初夏に新しい白いテニスシューズ(スニーカー)を夏の始まりの儀式として汚れ一つないそれを履いてその夏をスタートしたい、といった気分がブラッドベリ著「たんぽぽのお酒」に書かれていることを、真っ白なスニーカーを履いている人を見て急に思い出したことがあった。真っ白なスニーカーが似合う人はいいですね。そんなこともあったのでこのベンチで読むべき本は「たんぽぽのお酒」であるべきだったかもしれない。少なくとも、実際にはその本を読み進んでいてそれはそれで悪くはなかったのだけれど、お仕事小説である「本のエンドロール」はちょっと選択ミスだと、いまは思ったりする(笑)。

そのベンチの前の手すりの向こうにこの下の下の写真の白い花が咲いている。そしてその花の香りに誘われてアオスジアゲハが蜜を吸いにやってくる。アゲハが来ると、読んでいる本をベンチにページを開いたまま逆さにして置いて、写真を撮る。すばしこい蝶だ。子供の頃、アゲハやキアゲハやときにモンキアゲハやクロアゲハや、それはそれは美しいジャコウアゲハを、捕虫網で捕まえたことがあった。だいたい小学校の三年か四年くらいまでは昆虫採集が遊びの一つだった。アオスジアゲハは素早くてなかなか捕まえられなかったと思います。アオスジアゲハはアゲハ類に多い尾っぽのような羽根の後ろの突起がたしかない。飛翔のために効率的にデザインされているように思える。模様もなんだか機能的だ。

幼稚園の頃かもっと前かな、昆虫図鑑を見るのが大好きだったそうです。描かれた(というのは当時の図鑑は絵であって写真ではないのです、いまもそうかな?)虫の名前を覚えるために、私は、当時ひらがなの読み方は覚えたばかりだったそうで、まだカタカナは読めなかったらしく、図鑑の虫の名前はカタカナで書かれていたので、母がそのカタカナにひらがなの振り仮名をふったそうです。そしてそのひらがなで名前を覚えたとか。だからアオスジアゲハはあおすじあげはで、ハンミョウははんみょうで、オオスカシバはおおすかしば、だった。ということになる。

本を読んでいたら、後ろの方からチュウという音がするから、気になって、なんだろう?と振り返ったら、本当に若いカップルがそういう音を立ててキスをしているので驚いた。彼らは彼らで私が振り返ったのでちょっと居心地悪そうだった。そこでそれを機に車に戻った。

いつもだったら、どこかで昼食を食べて帰るかもしれない。この立石海岸の駐車場にもレストランがあるし、すぐ裏の国道(県道?)沿いにも目立たないけど一軒ちょっとしたパスタなどをランチに出している店がある。春キャベツとかホタルイカとか、パスタになっていそうな旬の具材もある季節だ。あるいは帰り道の森戸あたりに寄れば、いろいろと美味しいものが食べられそうだ。だけど今日は、コロナの一日の感染者数が急増していて神奈川県は対象地域ではないが、東京都は三回目の緊急事態宣言が始まった日でもあるし、店に寄るのはやめにしましょう。さして渋滞もしていない道を運転して帰ったころにはすっかり曇り空だった。

上の写真はたまたま通りかかった道沿いの風景です。どこが引っかかるのか不明だけれどなんか気になって撮ることがあるのがこういう写真。

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