誰もいない椿園

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 伊豆高原にある小室山にリフトに乗って上がってみると、目の前にどかんと大島が見える。こんなに近いのか、とあらためてびっくりした。キラキラ光る海面の向こうに逆光のなか利島も見える。向こうにすっかり野焼きが終わった茶色い大室山も見える。

ふたたびリフトで降りて、ふもとにある椿園に寄ってみる。公園の係員によればいろんな樹種があるから花が咲いている木もありますよ、ということだった。そしてたしかに花をつけている木もあった。しかしやはり総じてまだまだ蕾が硬い気が大半だ。そして季節外れの椿園を散策している人などほとんどいないのだった。ときどき花の咲いている木に目白がやって来て蜜を吸っては飛び去って行く。

椿の葉は艶やかで日の光を反射するからさきほど見た海面のように明るい。花のない椿園は明るくて、誰もいなくて、隣のテニスコートからときどき人のはしゃぐ声が聞こえてきて、優しい時間だな。