二軒目

 会社の同期の友人(すでに退職し悠々自適)と、30歳年下の若い男の子と、3人で焼き鳥の店に行き、珍しくもう一軒、野毛地区の山ほどある居酒屋やバーはどこもかしこも満席で、結果台湾料理の店に収まることに。瓶ビール一本を分け合い、にんにくの芽と豚肉炒め、蒸し鶏冷菜。春巻を分け合って30分。あとはそれぞれの帰宅の電車に乗り、じゃあまた、と別れる。二軒目の、疲れた感じ、ぼんやりした感じ、夜も更けて少しまじめな話に至る感じ、若いやつに苦言を少し言っては後悔する感じ、ちょっと寂しい感じ……なんだかとてもとても懐かしかった。店には大きな台湾島の地図が貼ってあった。店の台湾出身のおばさんと、ルーロー飯は旨いよねー、などと酔っ払いは笑いながら話す。

 一次会の焼き鳥コースは上品で高級できれいな店で日本酒も豊富で。そこからの流れだから、この二軒目の良さも立ち上がるんだろう。一夜の酔客にも時間の流れと物語があるのだった。

 ところで今日は国民の休日の土曜日でした。普通の土曜日だと思い都内の某ギャラリーに写真展を観に行き、祝日故に閉廊していてがっかりしたが、昨日までの寒さはなくすっかり春の陽気で、街のあちこち、常緑樹の葉や建物のガラス窓やときにはアスファルトの道でさえキラキラ光っていました。