今日は雨。一日中、家から一歩も出ることなく過ごす。昨日、鎌倉の書店で買った埜田杳著「ノスタルジア」読了。不思議な感じ。中篇「些末なおもいで」で設定された「奇病」は「くだらない」と片付けても良いようにも感じるが、それは私の固定観念がいけないのであって、そんなこと言ったらカフカの「変身」の設定だって「くだらない」と言わなければおかしいかもしれない。せっかくの奇病やその他の設定がもたらす様々な出来事の中で登場人物が想うことも、こんなもので済むわけではないじゃないかと不満足な感じが終始つきまとうが、それでも独特の色合いがある。読書中にとらわれる「感じ」が、何故だか池澤夏樹の「スティル・ライフ」に近い。未完成で稚拙なところと、それでも途中で投げ出せない何かがバランスしていて、読者たる私の度量のなさを試されている感もあり。若い人の書くライトノベル(でいいのか?)にはいつも振り回される。

 夜、デジカメで撮った2005年くらいの写真を眺めていると、またもや当時の写真の方がいまより軽快に撮っていてリズムがあって良く見えてしまう。上の写真もそんななかから拾い出した一枚。