雨の夜桜見物


 午前、大阪で写真展の打ち合わせ。午後、京都に戻り、京都御所の特別公開というのに行ってみる。雨もほぼ上がり、これから晴れてくることを期待したのだが、入場後、一転して大粒の雨と強風となる。さらに急に寒くなってくる。見物もそこそこに退散。雨宿りのテントも満員。

 いまここにいるのに、それでもこういうミニチュアの模型を見るのは楽しい。いまここにいても、俯瞰して全景を見ることはできないから、よりわかりやすく理解するために模型があるのだろうが、そういう目的とは違って、いまここなのかどうかより、ただ模型の細部を眺めるのが楽しくなる。



 夜、京都府立植物園の夜間観覧に行ってみる。しつこい雨はまだ降り止まず。ところでライトアップというのはもう葉桜になった木でもきれに見えるんですよね。いつもそうなのだが、夜にひっそりと、それでもさびしくない程度に人が集まって来るというところに属しているのは楽しいです。




 警備員の人が闇の中に立っていて、着ているベストに赤いLEDランプみたいなのが点滅している。その赤い点滅を撮りたかったのだが、露出がオーバーになって赤い点々はちゃんと写っていなかった。それにしても、なぜ、赤い光を点滅させている警備員を撮りたいと思うのか?普通じゃなく特別きれいな風景を撮り残そうというごく一般的な写真行為の動機がどんどんスライドして、あまのじゃくになると、普通じゃなくちょっと変な感じを呼び覚ます光景を撮り残そうとするのかもしれない。すぐ隣にあるほとんど同じ種類の動機にすぎないが、はまると怖い・・・みたいなものか。


 Tの部屋にあった、誰かが海外の蚤の市で買ったというポジの写真。なぜこの写真が蚤の市まで流れたのかは判らないが、そこには幸せが写っている感じ。誰かのプライベートな幸せの記録は普遍性をまとって、すなわち、幸せの解釈の共通言語をまとって、見る者の微笑み(みたいなもの)を誘う。庭に立って、犬と一緒に写真に写った赤い服の女性が写っているのです。