久しぶりに八ヶ岳辺りにドライブに行くことにして、朝の6時に出発。ナビによると八ヶ岳自然文化園あたりならば8時40分に着きますよ、とのことだったが着いたのは9時20分だった。圏央道から中央に入るジャンクション、なんて名前だっけ?八王子ジャンクションとかそんなん?まで数キロ手前から、中央に入る左車線は徒歩スピードより遅い大渋滞。既に中央高速に入るため渋滞となっているとは知らず、右のがちっとは流れるな、と車線変更したら、右はすいすいと進みだし、気が付いたときには左に戻るのはこれ明らかに横入り、横入りずーるい、と現場感覚で正義を習った世代として、すいません知らんかった、と左に戻れない。しかも左はほとんど動いてないから車間がたまたま少し開いているところもほぼない。右車線がのろのろして
たのは私のような状況から、左にいれていれて!とウインカー出して平謝りお願い状態の車がときどき右車線を塞いで止まってるから。それでジャンクション越えて次の八王子西まで行って降りる。一般道を進んで中央の相模湖インターから再度高速に。途中、相模湖駅前の信号で少し渋滞したがこの間はほぼすいすいと。どっちが早かったのかわかりません。こういうときは大抵高速でじっと並んでる方が結果としてそれでも早いんじゃないか。しかし知らない町で知らない人たちが土曜の朝の暮らしを始めているような風景を見ながら、信号で止まったり動いたり、くねった道を行ったり、そんな方が楽しいのは間違いない。一人のときね。誰かいてしゃべってるのなら高速渋滞でもいいかもしれないが。と言うのはこの選択?を肯定したい言い訳なのか。
茅野市尖石縄文考古館ってところに行きました。国宝の縄文のビーナスともうひとつなんとかのビーナス?仮面のビーナスじゃなかったかな?そんな愛称?の、二つの土偶を見ることが出来る。四面から子細に観賞できるような透明アクリル?強化透明プラスチックの箱のなかに、倒れないように釣糸を巡らせて固定され、白色LEDライトで照明されている。常時照らされていて脆くなったりしないものか、大丈夫なのかな。この二つの土偶は、もうすぐ上野の、国立博物館平成館で始まる縄文展にも目玉として出展されるらしい。なので、もうすぐこの尖石の考古館から留守となる。実際の人の体型とは似ても似つかないデフォルメされた形は何が由来なのか?五穀豊穣とか子孫繁栄の象徴とか、いまはそう言えるが、そう言うものかな。具象や写実ではなく、その現れるところが思想なのか祈祷なのかわからないが、いずれにせよ縄文の頃に抽象的な表現を共通に皆が持っていたのが面白い。
考古館の回り、縄文時代の住居が芝生のなかに再現されている公園を歩いていると、ものすごく暑く、ものすごい日差し。だが、木々のあいだから見えている空は積乱雲に覆われ遠く遠雷が聞こえる。
遠雷かぁ。立松和平原作で、永島敏行が主演だったかな?栃木県が舞台のなんだか鬱屈した熱が籠ったような青春映画がありましたね。70年代か80年代のATG映画、かな?石田えりが惜しげもなくってやつ。婆ちゃんがザリガニの揚げ物なんか年寄りは食べられんと拒否する場面があったかしら?ザリガニが問題なのではなく、揚げ物の油っぽさを毛嫌いしたと思う。
もう夕立が通りすぎて、遠くに去っていく遠雷の雷鳴が聞こえる。暗くなっていく夕暮れの時間。昼間の猛暑は夕立のおかげで少しおさまった。外からヒグラシのカナカナって声がにわかに沸き立つ。縁側から遠い奥の四畳半。まだ部屋の電灯を灯すまでではないが。
こう言うところにいたときがあったかしら。子供の頃になにか漠然とした怖さを感じながら、一人ぽつねんとその部屋にいたことがあったような、創っただけかもしれないあやふやな記憶。
考古館でGoogleマップを現在地にしてから 近くのカフェ って検索してみる。けっこう出てくる。テディベアが置いてありそうなところや、手作り小物を売っていそうなところや、本来は英語もしくは片仮名で書くべき外来語に丸文字の平仮名を当てているようなところは、やめましょう。
それで選んだ一軒に行ってみる。横浜から、奥さまを横浜のご自宅に残したまま、ご本人いわく単身赴任で茅野市に古民家再生で移住してきた70台のNさんのやっているN珈琲。Nはその方の名字です。古民家は息子さんが再生したそう。
着くと同時にそれまでいたグループ客が店を出ていき、客は私一人に。珈琲とロールケーキ(湘南オレンジ)を注文してからトイレに行き、戻ったらものすごい雨になっていた。キラキラと雨粒が光るのを大きなガラス窓越しに眺める。自家焙煎の珈琲豆でドリップした珈琲は美味しい。店内にはオープンリールのテープデッキ、真空管アンプ、レコードプレイヤー、アンプ、アナログレコードの入った棚などもある。あるが、では音楽喫茶なのかと言えばそうでもない。同じ店内だが奥に畳の小上がりのような六畳かな八畳か、の間があり、そこは客が上がるように整えられてもおらず、そんなのが雑然と置いてある。聞くと、趣味のようで、客のためにしつらえた店の空間ではなく趣味に重きを置いた自室の延長といった感じで、暇なときに?なのでしょうか?少しづつ整備していくらしい。これからスピーカーに仕立てるつもりのウーハーなども置かれている。まだ中身を出していない段ボール箱もいくつかある。
雨音と雷鳴のなか、LPレコードを聞かせていただく。ベートーベンのピアノ協奏曲。B面は穏やかだったが、A面は風雲急を告げているようなメロディだ。それが雨音と雷鳴の中で流れていると、なんだか名探偵コナンかなにかに扱われる山荘殺人事件でも起きそうな場面だ。が、もちろん実際はそんなことはなくてNさんとオーディオの話、自動車の話、古民家再生の話、すぐ近くの町営?温泉の河童の湯の話、等々。話が弾むのだった。
雨が上がるまで小一時間?いや1時間以上だったかな。Nさんの自家用車はオイルサスペンションのシトロエンだった。
帰りは大渋滞を嫌ってずっと国道20号を選ぶ。最後、相模湖から高速に乗った。帰宅は午前1時になっていた。
下の写真は帰り道の大渋滞でまったく車が動いていないときのものです。