がれき

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キヤノンギャラリー銀座で山下恒夫写真展を鑑賞。写真家ご本人と小一時間話をする。多摩川の土手に集まってくる人々やそこにある(あった)ボート屋や季節限定の簡易食堂などを丹念に見つめてきた写真。漫画家つげ義春の「無能の人」の舞台となった多摩川が、「無能の人」シリーズのそれぞれの話のようであって、だけどもちろんそれとは違う星の数ほどある小さな話を受け止めた場所であること。そしてそういう小さな話は多摩川というこの場所に限らず、そこにもあそこにもあるということ。そう言うことが想像できるということが人の優しさと言う強さで、その想像力が持てるかどうかが大事なことなんだろうな、などと考えながら帰り道に銀座を歩く。こういうことを考えさせるということそのことが山下さんの写真の強さなのだろう。展示されたなかに餌をやって雀を寄せている人の写真があった。雀の羽根が逆光で光っていてきれいだ。その写真が「いい」と山下さんに伝えると、毎日のようにここにやってきて餌をあげている人だと言う。それだけの情報で、この写真に写った人の物語のようなことが思い浮かぶのだった。

という上記のこととはずいぶんかけ離れた感じで、銀座のはずれの川沿いにあったたしかレストランが店じまいしていて、その窓の中にがれきを見つけたのだった。