ジンジャー ブレッド ボーイ

f:id:misaki-taku:20220321231057j:plain

 夜、20時過ぎ。車を運転しながらマイルス・デイビスの「マイルス・スマイルズ」を聴いた。家の近くまで来てジンジャー・ブレッド・ボーイが流れ始めた。帰宅してからちょっと調べたら、この曲はジミー・ヒースが作った曲だそうだ。出来る限り早く、逃げるんだ、ジンジャー・ブレッド・ボーイ。犬や人間に食べられてしまわぬうちに。歌詞があるらしく、そんな内容だそうで、ちょっとだけ、およげたいやくきん、を思い出した。

 もう春になった、と思う日があるかと思えば、雲が出てきて日が遮られると、急に寒くなり、自分の腕を胸の前でぎゅっと組んで、背中を丸めて速足で歩く、そんなときもまだあるようだ。それでもあとひとつきたつと4月も下旬になり、木々も草も、植物には新しく緑が生まれる。そういうことを知っている。待ち遠しい。でも待ち遠しい今も、待ち遠しいと思えることで、良い季節なのだろう。

 もうすこしだから、もうすこしだから、といつも言い続けても、もうすこしが何枚も重なって重荷になり、それが苦しいときもある。そういうときは、もうすこしなどと期待したりせずに、休んでしまえばいい。休んでいるあいだは、護衛兵のようになり、すぐそばにいて、ただ寄り添うことしかできないにせよ、それだけで、暖かさがつたわってほしい。

 むかし、1970年代のいつからか、指にVサインを作りながら笑顔で「ピース!」と挨拶をするのが流行っていたが、冗談じゃない、それこそが大事なことかもしれない。