受け身で決まる旅先

 少し前にフイルムカメラで撮った横浜市の野毛地区の通り。ジャズのライブスポットのドルフィーの看板が写っています。トラックは、一階の居酒屋?にビールでも運んできているのでしょうか?まだ営業開始時刻の一時間か二時間前の昼下がり。

 どこかの町に旅をしようと決める、その理由はいろいろ。最近自分が旅をしたなかでもっとも受け身の理由は「マイル引き換えの特典航空券が希望する〇月〇日午前往路のフライトで翌日か翌々日の午後に復路のフライト」の条件で取れる行先がひとつしか見つからないというもので、二年か三年前に鹿児島に行ったのは、その理由で鹿児島でした。その次の受け身の旅は「出張にくっつける」場合で、金曜日にどこぞの町に出張があると、出張の業務終了後にすぐに帰らずもう一泊してその町もしくはレンタカーを借りてその近隣を旅してから帰るというもの。そのまた次は、見たい映画が突然浮かび上がり、その上映場所を調べるともう日帰りできる近隣県でのロードショーが終わっていて、どこか遠い町でしかやっていないことが判ったときに、ではそれを第一の理由にしてついでにそのロードショーをやっている町や周辺を旅をしてみようか、と思い立つとき。さらには聴いてみたいコンサートのチケットがとある町の回しか取れなかったときに、コンサートにくっつけて旅をする場合。こういう具体的にその場所に根付いた「目的」が最初にある、例えば「金閣寺を見たい」とか「富士山に登りたい」とか「ねぶた祭を見物したい」などの目的があることから自動的に旅に行く町を決めるのではない、旅先が決まる理由がある。そして私の場合の多くは、この「その地に紐づけられた目的がなく、受け身の理由で旅先を決めている」ことが圧倒的に多い。

 そうやって受け身で行先が決まったあとに、その町にある「古本屋」「ブックカフェ」「個性派書店」という書籍にまつわる場所を検索して調べる。ほかにも「昭和レトロの喫茶店」や「枯山水石庭」や「コーヒーロースター」なども調べる。そしてこれらと並んで検索するのは「ジャズ喫茶」。しかしこんな調査もネット環境があるから出来ることで、ほんの数十年前には雑誌などで情報を調べるか、そうでなければその町に着いてから行き当たりばったりで路地をうろついてはJAZZと書かれた看板を見つけて「エイや」と入る、この「エイや」の勇気も旅の醍醐味だった。

 あるいは受け身で決まる旅先であっても、それでまったく問題ないのは、私の趣味がカメラを持ってその町を歩き、スナップ写真を撮り、町を知って行くということそのものだから、だからどこでもいい。受け身で決まればそれでいいと思うのだろう。

 だけど意外と同じ神奈川の、言い換えると近場のジャズ喫茶(やジャズスポット)に行ったことがないな。ドルフィーも行ったことが・・・たぶん、ないです。