なんちゃての文化

 ファミリーレストランでいいのかな?ステーキのフォルクス。自動車を運転していて、赤信号で停まった位置の、真横だったのと、対向車線に車が走って来ないので、パワーウインドウを下げて、写真を一枚。フォルクスに限らず、ファミリーレストランの店舗建築は、それぞれの建物のデザインのテイスト云々に気が回る前に、ファミリーレストランの××(××はフォルクスでもデニーズでもロイホでもなんでも・・・)という強い認識だけで興味が終わる感じだった。すなわちアイコンとして成立している記憶に残るデザインであり、その一方でそのデザインにたいして気を配らない、という感じ。だけど写真になってあらためてしげしげとこうしてフォルクスの店舗デザインを見ると、アメリカ南部のようであり、いやいやヨーロッパの山小屋のようでもあり・・・というか私の建築知識がないから、こんな風に迷うんだろうな・・・よくわからないが、とにかく日本的ではなくて、しかも「はりぼて的な××風を装っているファミレスデザイン」という建築自体が何十年か当たり前にあり続けたことで・・・まぁこの店が何十年経っているのかどうかは知りませんが・・・いつのまにか私のなかでは愛着というか懐かしさのようなことまで生まれている。何年か前に湘南地区にあるいくつかのデニーズの70年代か80年代に建てられたとおぼしき店舗が、解体リニューアルされて新しい統一デザインの箱型でよりシンプルな形になったときは、ちょっと寂しい思いもしたものだ。なにかを真似た張りぼて「なんちゃって××風」のファミレス建築をこうやって正面からシンメトリーになるように撮って、トーンカーヴの真ん中を少し持ち上げて明るい感じにすると、それは、なんちゃってニューカラーにも見えるから、なんちゃってのなんちゃってが、実はそれこそが個性的な現代日本風なのかもしれない。

 家の近くにも以前はフォルクスがあったけれど、いまはステーキのどんに変わってしまった。フォルクスだったころ、というのはもう20年も前の話だけれど、サラダバーが好きで、三回四回ときには五回もサラダばかりおかわりしていた。ドレッシングもその都度変えてみたりして。メインにステーキを食べたのだろうが、なにも覚えてない。ただただサラダの思い出のフォルクスです。

 そもそもいまのように生野菜を普通にたくさん食べるようになったのは70年代になってからだったかな。小6の家庭科の授業で、トマトとレタスとキュウリのサラダ、こふき芋、ホウレンソウのバター炒め、という三品を作った。どれも美味しかった!というように記憶されているが、きっと自分たちで(料理実習授業はグループごとに作るのだった)料理をしたのが初体験だった、その心の高揚も手伝って、美味しさが二倍三倍に拡大したんだろうな。あのとき同じ班だったH沢くんやY野さんも、みな私と同じ年になっているのか・・・当たり前のことなんだけどちょっと驚きますね。