カントリー


 カメラを持って、茅ヶ崎海側の住宅地や鉄砲通り(海沿いの国道134より一本北側のバス通り)を散歩する。数年前に、古い一般住宅なんかを6×6ネガフイルムで採集していくような気分で撮り歩いていたときには、よくそんな風に散歩をしていた。自分で習慣みたいだと思っていることも数年のスパンではすっかり変わっていて、だからこういう散歩をしてみたら懐かしかった。
 本当はカフェハッチにちょっと用事があったのだが、シャッターが降りていて、ポストイットに「23.24日は臨時休業」と書かれて貼ってあった。
 何年もそこで営業していたサイクルボーイ(オーダーメイド自転車)のあった店舗に「貸し店舗」の貼紙があって中身は空っぽ。えー!?タニちゃんどうしたの?とあせったが、ドアの鉄枠に、いつものアインシュタイン舌出し顔のマグネットで新店舗の案内が出ていて、同じ茅ヶ崎でもずっと北の方に店を移したことがわかった。今度行ってみよう。
 最後にサイクルボーイに寄ったときに工事中だったカフェがオープンしていた。OZU CAFEという店名。隣のジャズ+ラーメンの店にするか、OZU CAFEにするか悩んだが、初めての店に入ってみようと思い、OZU CAFEで昼食。カレーセットは、グリーンカレー(チキンやパプリカがたっぷりでボリューム満点)とサラダ、ピクルス。コーヒー。すごく美味しかったなあ。ほかにもランチ・プレートなどもあるようでした。
 店にはジャズが流れている。あ、ヤンガルバルクの音、と思い、ついで、あ、キースジャレットの唸り声とわかる。聞いたことがある曲だけど、なんだっけ?曲が変わったら、それはアルバム「マイ・ソング」だということが判った。アルバム名が判ったのは「カントリー」という曲が流れ出したときで、私は学生時代にこのLPを買って、それでこの「カントリー」と言う曲が「異様なほどに」好きになったのだった。だからOZU CAFEでサックスのメロディーラインを、なんと正確にそのままたどれる(例えば口ずさめといわれれば口ずさめる)ことに気付いた。びっくりですね。もう十年かもしかしたら二十年、ずっと聞いてなかった曲なのに、二十代前半に覚えたメロディはちゃんと記憶されているんだな。
 店主に「サイクルボーイ」はいつなくなっちゃたんですか?と聞いてみたら、そこからずっとタニちゃんの話になった。OZU CAFEの内装もタニちゃんのアイデアでいろんなデザインを決めたそう。
 OZUという名前は小津安二郎から取ったのか?(茅ヶ崎には小津が撮影のときに滞在した定宿の茅ケ崎館もあるし)と思ったが、もっとずっと愛らしいプライベートな由来だそうです。http://blog.goo.ne.jp/ozucafe
 コーヒーも美味しい。

 それからまたずんずんと鉄砲通りを西へ歩く。うな一を通りすぎるときには鰻を焼くいい匂いがする。アシエンダカフェがアシエンダデコだったかな?店の中身が変わっていて、何かを売る店になっている。ギター屋さん、前からあったっけ?新しいカフェ。新しいパン屋。ボージャン(カレーの店)の先の路地をひょいと南へ入ると、閑古堂というブックカフェがあった。おっ?普通の家の一階リビングがカフェになっているのかな?玄関で靴を脱ぐの?入り口でちょっと中をうかがうようにしてそれだけ把握する。中から誰かがよしだたくろうの「夏休み」を歌っている声が聞える。
 まあ、今日は中をうかがうだけにしよう、と引き返す。何故か「夏休み」を聞いたら私の頭の中の鼻歌が「たどりついたらいつも雨降り」になっている。アルバム「元気です」の曲順までは覚えてないけど、まさか、夏休み→たどりついたら、ってことじゃないよね?(いま調べてみたら、夏休み→馬→たどりついたらいつも雨降り、でした)

 辻堂駅に向かう道沿いで、公団だったか市営だったか茅ヶ崎住宅と書かれた閉鎖された建物を見つける。荒れた庭に雑草が茂る。(上の写真)

 古書洋行堂。昨晩、ニセアカシアHさんが島尾伸三のことを話していたが、一体何をしゃべっていたのか?覚えてない。覚えていないけど、みすず書房島尾伸三著「季節風」があったので購入。ほかに数冊。

 辻堂から電車に乗り、帰宅する。マウスを買うのを忘れたまま帰宅する。

 夜、マウスを買いに自転車でヤマダ電機へ。それでいまは新品マウスで暴走しなくなりました。

マイ・ソング

マイ・ソング

元気です。

元気です。

季節風―照片雑文 (照片雑文 (〔1〕))

季節風―照片雑文 (照片雑文 (〔1〕))