須田一政写真展「凪の片」


 9月30日月曜日夜、招待状をいただいた須田一政写真展「凪の片」のレセプションに行ってくる。場所は東京都写真美術館。フェロが掛かった光沢滑面と漆黒に見える中に残る美しいグラデーションのビンテージプリントによる「物草拾遺」シリーズほかが美しい。「紅い花」の展示は、いままで何度か見た須田さんの展示が、壁に横一列にきれいに写真を並べたものがほとんどだったので、上下に写真を動かした展示のリズムが面白い。見せたい写真の意思がより強化されているような感じもする。「東京景」のシリーズは大きな展示室の壁面いっぱいに写真を密集させて展示しているが同じ部屋の背面の壁は空白であり、その効果なのか、ある時代の東京のストリートスナップが標本のようになっている感じを受ける。最新作「凪の片」は、カメラを向けている、その今のそこが、すでにはるかに過去のような、その今のそこが、その今のそこであるたえに引き継いできた時間をひっくり返して表沙汰にしているような、そういうような感じがするのだった。そのくせ光が柔らかい。
 なにも話さず、大勢の人に取り囲まれている須田さんにちょこっとだけ頭を下げてあいさつする。レセプションの始まるときに須田さんの話。「なにも気負わずにただそこにシャッターを押してきた、ということで、ずっと写真を続けてこれた」あるいは「私は他人の家族アルバムを見るのが大好きなのだが、今回の自分の展示は古い作品があって、そういうのを見ると懐かしくて、同じような感じがして面白い」とか。
http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-1933.html

 上の写真はおよそ一年前に撮った中から拾いだしました。