横浜


 ニセアカシア発行所展は来週の日曜日に搬入して、7/7月曜日より始まる。場所は日本橋茅場町森岡書店。昨日の土曜、6/28は終日ずっと雨が降っていた。朝、外出する家族の女性陣を駅まで送り、そのまま車を運転して、海の近くのデニーズに行って、サラダモーニングを食べる。食べながら、またひとつ、世界堂書店に収録された短編を読む。中国の古い話で、若い女性の幽霊とその幽霊が「出る」家に住む男の話だった。怪談の定番では、この設定の場合、結局生きている男の生気が失われて死んでしまうか、死なないようにするために「回り」の人たちが策を講じて幽霊と戦う、ということになるのだが、この話では異界と現世をまたいだ恋が成就して、幽霊が現世に生き返った。めでたしめでたしな怪談噺なのであった。雨の朝にデニーズにいると、森山大道のハワイという写真集の喫茶店(というかダイナーっていうのか?)で差し向かいでなにかを食べている男二人の写真を思い出す。私のなかでは、あの写真は雨の日の午前中で、仲の良い二人の老人が、いつものダイナーで差し向かいで朝飯に、日本で言えば喫茶店のモーニングセットみたいなものを食べている、そういう写真、と思っている。ずっとそう思っていると、それがもう絶対に私の中でのその写真に対する「決め事」になっているが、本当にそうなのか?あれはレストランかもしれないし、雨なんか降っていないかもしれない。デニーズに行くと近所のお年寄りがモーニングを食べているのによく出くわす(気がする・・・だけかな、これも)。ハワイの写真集に写ったレストランまたはダイナーも、デニーズのような街にあるファストフード店なのかな。いや、そうじゃなくって地元で老舗のダイナーなのかな。

 土曜日はそのあと、7/7から始まるニセアカシア発行所展のための写真展示の準備。プリントをやり直したり、注文したのが届いたマットをアクリルプレートに固定したり、そのマットに写真を貼りつけたり。結局、一日中その作業をやっていて、午後9時少し前に近くのクロネコヤマトに持って行って、発送を終えた。

 日曜日、早朝はまだ雨の降っている音がして、なんだ予報と違って晴れていないのか・・・と、外を見るまでもなくベッドに横になったままで思ったが、またうつらうつらとして8時ころに起きだして外を見たら、雨は上がっている。昨日コンビニで買っておいて、本日の朝5時までが賞味期限だった、わさび風味のいなり寿司を賞味期限4時間後の9時に食べる。いつもの高血圧と不整脈の両方に効くという白い薬を飲む。それから、出かける。昨日送った額を掛けるときに使うかもしれないコクヨの「ひっつき虫」という軽めのものを壁などに貼り付けるチューインガムのような粘土のような、べたべたしたのを買いに行く。最初は藤沢で降りてビックカメラに行こうと思っていたが、ないかもしれない、どうせなら最初から大きな店に行った方が確実ではないのか、と思い、横浜まで行って、ヨドバシカメラに行ってきた。ひっつき虫は文房具コーナーにあったが、商品を見つけるまでに苦労する。最初は額やマットのコーナーに行き、一応自分で探し回ってから店員に聞くと、少なくともここにないからあるとすれば文房具のところだろう、と言うので、そっちにまわり、探すがなかなか見つけられない。そこでまた店員に聞くが、しばらく一緒に歩いた後、どこかにあるはずなのだがちょっと待っててください、と言われ、文房具コーナー担当の人を捜しに行ってしまった。その間も自分でうろうろと見て行ったら、やっと見つかったのだった。見つかってみれば、なんだ、さっきもこの棚の前を通過したのに、なんで気が付かないんだ!?と思う。そこへ文房具コーナーの女性が小走りにやってきたので、もうありました、と言うことになった。

 所望のものを買ってから、タワーレコードに行ってみることにして岡田屋まで歩いた。改装後の岡田屋モアーズは初めてで、各階案内を見たら、東急ハンズが入ってきていて、タワレコがなくなっていた。えっ!そうなのか・・・もう若い人はダウンロードで音楽を買っているから、CDの実店舗はやっていけないのかな・・・と思う。実際にCDを見ながら、解説やジャケットを見て、知らないバンドのCDを試しに買ってみて、当たりだった、とか、失敗だった、とか、そういう不明瞭で期待や妄想に裏付けられた一か八かの買い物をすることも、出会いのためには重要なのだが、すべてシステマチックに嗜好分析されたら、思いもよらない発展がなくなって、よくないじゃないか。と、こういうことに出くわすと必ずそう考えて憤慨するように出来ている中年なのだった。が、そんなことを思う一方で素早くスマホで検索したら、タワレコーは元HMVがあったビブレに移っていることが判明。今日は快晴で蒸し暑くて、いよいよ真夏到来って感じだ。その中をビブレまで歩いて行く。気まぐれで立ち寄っただけなのに8000円分も買ってしまった。茅ヶ崎TSUTAYAに置いてないTRAVISの最新アルバム(とはいえだいぶ経っているのかも)のWHERE YOU STAND 、試聴機で聴いてみてちょっとストリングスとのマッチング変ちくりんな感じだったのでという理由で clean bandit new eyes って書いてあるの。こういうのって、からきし判らないのが、clean banditっていうのが、バンド名なのかアルバムタイトルなのか、どっちなんじゃい?懐かしいATRANTICレーベル。赤と緑のレーベルマークの付いたLPレコードを高校生や大学生のころ、友人の家や自分の家のターンテーブルに何度も載せたものだ。YESの危機とかね。そういえば昨晩、テレビ神奈川だったかな、つけっぱなしにしておいたテレビでコンサートの宣伝が流れたのだけど、YESとかBOSTONとか、もうメンバーがみんなお爺さんになったバンドの来日コンサートの宣伝ばかりだった。日本公演は年寄りの小遣い稼ぎに美味しいのだろうか。それともちゃんと世界的にもそういうツアーが成り立つのだろうか。
 そこで終えとけばいいのに、WILCO FILMというDVDも買ってしまう。

 横浜駅周辺で写真を撮り、地下鉄で伊勢佐木長者町へ。ぶらぶら歩いていると、神輿の行列に行き当る。すごい見物人。道を折れて歩いて行くとグリル桃山という洋食屋があったので、惹かれてふらふらと入店。昨日から出かけている家族の女性陣が某所で洋食を食べたらしい。どうやらエビフライを食べたらしい。って、べつに「どうやら」じゃなくってメールのやりとりで知っているだけのコトなのだが、それが頭の片隅にあったのか、Cランチだったかのエビフライランチ1000円を食べる。薄い衣でカリッと揚がった海老が三本。一つはウスターソースで、残り二つはタルタルソースで食べる。付け合せのポテトサラダとキャベツも美味しい。珈琲も付いている。や、最初にスープも出たのだった。

 そんな感じの横浜散歩でした。本当は前のブログの続きで、決定的瞬間の反対にある光景について、実はそういう非決定的な瞬間も、決定的な一瞬にしかないのではないか?というようなこととかを書こうと思っているのだが、この先さらにそれを書く元気はないです。