バスセンターのカレー


 家族の某に新潟に行く予定があったので、JR東日本の格安週末きっぷを使って、同行してきた。一泊二日。宿は「新潟の奥座敷」だそうです、月岡温泉に泊った。新潟へ行くのは二度目で、前回は日韓ワールドカップのときに知人のSさんが4枚当選した券を分けてもらって息子(当時中学生だった)と二人でカメルーンアイルランドの試合を観戦に日帰りで行ったのだったから2002年のことだ。そのときは駅に到着して競技場へ行って、試合を見て、駅まで戻り、記憶が正しければ駅前にあった古そうな洋食の店に入り息子がなにを食べたのかは覚えていないが、私はタンシチュウを食べて、それからはどこかを回る時間もなく帰ったのだった。
 今回は、一昨年あたりから雑誌が本屋の特集をやるとかなりの頻度で取り上げられている「北書店」に行ってみたい、というのが第一目的だった。初日は到着して駅ビルにある回転ずしの店で昼食を済ませて、すぐに宿に向かって白新線の電車⇒シャトルバスと乗り継いで宿へ行ったから、新潟市内を歩けたのは15日の日曜になった。天気はいまにも雨が降る出しそうな曇りで寒い。新潟駅に着いて、路線バスで朱鷺メッセと言う場所へ。新潟県万代島美術館で「うつくしい暮らし」展を見る。
 それから北書店に向かおうと、信濃川を行ったり来たりしているシーバスのようなのに乗って万代橋あたりへ。降りてからさて北書店のある市役所まではどのバスに乗ればいいのかしら?とたどり着いた万代バスセンターをうろうろしたがどうやら市役所へ行くバスはこのバスセンターからは出ていないらしい。もしくは気が付けなかった。
 それで、うろうろしていたら同行の家族の某がバスセンターのカレーというのが有名なので食べてみようと言う。たしかにいわゆる立ち食い蕎麦屋の店が蕎麦だけでなく牛丼等々もメニューにあって、その中にはカレーもある。そして、妙に静かな長い列ができていて、十中八九はカレーを食べている。
 黄色いカレーでレトロな味が売りらしい。結構辛かったな。特別に特長があったり、すごく美味しいというわけでもない。でもやっぱり特長があって、すごく美味しい、とも言えるのである。なんだかけむに巻いたような書き方だけど。ここがバスセンターの立ち食い蕎麦屋であること。これからバスに乗り市内各地に散らばっていく人(プラス観光客)が、思いのほか静かにもくもくと食べている、そこに、静かな共感がある。そういう全体でこの名物が構成されているのだろう。

 さて、そのあと結局はタクシーを拾って北書店に行ってみたら、なんと!どこぞの公園のひと箱古本市に出店中のために本日は休業とあり、しまっているではないか!ホームページにもブログにもツィッターにも、少なくともすぐわかるところに、臨時休業の記事はなかったように思う。あんまりだよなあ、北書店。全国区の雑誌にあれだけ紹介したのだから遠くから来る人もいるんだから。
 でもって俄かにリベンジしたくなる。再訪計画を立てねば。

しんとく問答

しんとく問答

今読んでる本。大阪を舞台に小説家本人がモデルと思われる主人公の男が、歴史探索風の散歩をカメラを持って行っては、そこで撮った写真を同封した手紙を誰かに送っているという形で、小説の本筋ではないところの感想だが、写真の解説が、目的である歴史探訪の律儀な記録だけでなく、そこで出会った偶然の出来事なども含み、全体として交錯する時間と、目下の出来事と、予定と偶然と、さまざまな出来事が「計画」を軸にまつわりついて一日一日が構成される(あえて「過ぎていく」ではなく)ことが浮かび上がる小説。秀逸。