90年代はふたむかしも前のこと

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 アサヒカメラか日本カメラを昼休みに食事を取った後に、フリースペースのちょっとした会議ができるような机で写真好きの会社仲間と一緒になってめくっているときに、とある交差点で信号を待っている人たちのスナップ写真が、月例コンテストの一位になっていて、なんだこんな当たり前の街角スナップのどこがいいんだろうか?と声に出して言ったのだが、実はすごいびっくりしていて、その写真を見たことで、ちょっとというかだいぶ、撮りたい写真が変化したことがあった。1990年代の前半のことだったろう。

もう一つ、川崎市民ミュージアムで、なにかの展覧会のなかにリー・フリードランダーのセルフ・ポートレートの中の、有名なアラバマ?だったかな、の写真を見たときも大きな衝撃を受けた。このときはその翌日から毎日会社に行くときにも、モノクロフイルムを入れたカメラをバッグに忍ばせるようになり、必ず一日に一枚以上の写真を、自宅と会社の行き来をしている平日であっても、必ず、撮ることに決めて実践した。これも1990年代の前半のことだろうか。

この上の写真が、ここに書いた二つの出来事より前だったのか、後だったのか、あいだだったのかは不明だけれど、なんとなく自分としては、ずっと棚の奥にしまってあったスライドの写真には綺麗な風景を追い求めた頃の写真ばかりがあるのだろうと思っていたので、例えばこんな写真が出てきて、びっくりした。なにも覚えてないし。初めて見る気分の写真だった。

これは伊豆半島の南の方にある下田で撮ったスナップです。仕事で取引先のコイル部品を製造する町工場を見学に行く、その工場が下田からさらに車で南に行った方にあると言うから出張したのではなかったか。待ち合わせ時間よりずいぶん早くに到着してしまったので、写真を撮りながらぶらぶらし待っていたのです。