左から右へと

 2000年頃に撮ったモノクロフイルムのネガから拾い出した写真です。前のコマにこの交差点の信号に石和警察署北と書かれているのが写っていました。このラーメン三角屋はすでに店を閉めていて、いまは別のラーメン店があるらしい。

 この写真、画面の左側のラーメン屋の出入り口にいままさに暖簾を分けて店に入ろうとしているおじさんがいて、一方の右側の出入り口からはズボンを持ち上げながら外に出てきたばかりの満腹のおじさんがいます。さらに画面の右端には車に乗り込もうとするおじさんがいて、おじさんの右足の膝下には包帯がまかれています。右の出入り口から店のおばちゃんでしょうか、顔をのぞかせている。おじさんを見送ったあとに、カメラを構えている私に気が付いて、ちょっとこっちを見たのかもしれません。もちろん写っているのは全部そのときにここにいた別の人たちですが、画面の左から右へと時間が流れていると仮定すると、左から店に入り、なかでラーメンを食べ、真ん中から外に出て、右へと歩き、自家用車の運転席に乗り込んで、このあとはフレームアウトして家に帰る・・・という順番が写っているようにも見えました。スナップ写真はそのときにはそんなことまでは判らない。あとから見直すと、ほんの稀に、ちょっと面白い瞬間が写っている。だから数打てば当たるみたいなことが言われているのでしょう。

 でも自分がなんでこのときに山梨県の町のこの交差点の場所にいたのかはよく覚えてないですね。